燦が濃厚な口付けに目を白黒させている頃、青藍が見れば飛んで喜ぶような光景が、此処――――――――
緋冴の自室でもまた、行われていた。

涼の嫉妬に術を無くした緋冴が踵を返して自室に入ったのを追い掛けた涼は、そのまま緋冴の部屋に居座っていたのである。

しかも全く口を聞かず、緋冴はやれやれと寝台に腰を落としたのが悪かった。
涼はすかさずその傍らに座りこむと、驚く緋冴を尻目にその場に押し倒した。

勿論そこで行われた事は後ほど語るとして、それぞれの部屋での事を綾迦が見ていた事もまた事実。

やがて青藍の術が解け、皆が綾迦の元へまた集まった時には、綾迦はさっさと火宮を後にした後だった。
それぞれの王もまた自分の宮へと帰り、燦は今日一日に起こった事に激しい疲弊を感じ、疲れた体を引き摺る様に自室へと向かっていた。

結局、蒼迦とも話をしないまま、青藍の覗きに付き合わされ、しかも青藍は闇姫を見た後、急に消えた。

「朔、って誰だ・・・・・・?」

誰に問うでも無くボソリと呟くと、それに答えるかの如く、鈴の様な声が響いた。

「燦さま」
「―――――ッ!び、ビックリした、流迦・・・・帰って無かったのか」
「はい。お母さまがこちらに滞在しても良いと」
「そうか・・・・風王さまも挨拶せぬままになってしまったな」
「はい。これを燦さまにと」

そう言って流迦は小さく折り畳められた紙を手渡す。
掌に隠れてしまうほどの小さな紙を恐る恐る受け取り、そっと指先で開く。

―――――――ぶッ!
燦は赤くなりながら、思わず込み上げる笑顔に顔を隠しながら、不思議そうな顔の流迦に手を差し出した。

「燦さま・・・・?」
「おいで。一緒に寝よう」

口を付いて出た言葉に、流迦は頬を赤らめながらその手を取る。

「今日は疲れたよ、流迦」
「大変な日でしたもの」
「うん。そうだな」
「・・・・・頭、撫でて差し上げましょうか」
「・・・・・子供扱いか」

そんな軽口を叩きながら、燦は流迦と静かに自室へと入って行った。
ちなみに燦への綾迦の手紙にはこう書かれていた。

『燦、孫は男で頼む』




おかん、嫁入り前だけど良いですかッ←