「ちょ、どこ行くんだよ、青藍」
『まあまあ、燦さま』

燦の呆れた声を振り切りながら、青藍は軽やかに飛んで行く。

――――何が、盗み聞きだ。
正直言って気は乗らない。
青藍はばれたってそんなに怒られないかもしれないが(だって長老みたいなもんだし)俺は滅茶苦茶怒られるに気まってる。
皆に咎められる処を想像すると、燦は小さく身を震わせた。

『燦さま・・・・・相も変わらず小心者ですね・・・・』
「当たり前だろうがッ!」
『これだからおこちゃまは・・・』

ふっと青藍が小馬鹿にした口調で燦を見る。

「何がだよ」
『良いですか?良い風に考えるんですよ。皆が何を話しているのか、しかも本音を聞ける良い機会じゃ有りませんか。そう!言うなれば諜報みたいなもんです!色んな情報が入るかもしれませんよ?』
「そんな・・・・・でもそれってどうなんだ?別に調べる必要は無いだろう?」
『この馬鹿・・・・いや、何言ってるんですか!調べる事は山ほど有りますよ!例えばそう、闇姫!彼女は何か隠しています!それが解れば今回の賊の事も解るかもしれませんよ?』
「今、馬鹿っていたのは聞き逃さないぞ、青藍」
『小さいですねぇ、燦さまは。そんな事では流迦さまに嫌われますよ』

ズキ、と胸が痛む。
鴻が上手く話をしてくれていたが、俺が出て行く時の流迦の寂しそうな、心細そうな表情が目の前に浮かんで、そして消えた。

『燦さまに足りないのはちょっとした遊び心。もっと周囲を柔軟に見ないと』
「――――――それが、コレ?」
『・・・・・・コホン。ま、そう言う事です』

青藍の言葉に嘘は無いだろうが、実際違う、と思いながら、燦は渋々青藍に従った。

パサパサと軽い音を立てる青藍の翼。
行く先にはうっすら光をはみ出させている扉が見える。

青藍がその前で燦を促すと、燦は躊躇いながら中を覗き見た。

―――――――――ッ。
瞬時に燦の頬が紅潮して行き、青藍はその様子に驚いた様に自分の首を扉に差し入れた。
青藍の動きもピタリ、と止まる。

そう、中には・・・・・・
濃厚な口付けを交わし合う、2人が見えたからである。



濃厚?
牛乳じゃありません(笑)