恋ってどんな感情なんだ?
燦も涼も春爛漫、って感じだけど、俺にはサッパリ解らない。

可愛いな、とか、綺麗だなとは解るけどさ。
誰かを自分のモノに―――――――なんて全然解んね。


恋までもう少し 1 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

燦は、流迦姫といちゃつき開始。
あっちじゃ緋冴姫連れて涼がさっさと2人きりになろうと画策中。

全く、何なんだ一体。
逢引きしたいなら、個人的に遠出すれば良いのに毎回毎回こいつ等は俺を誘いやがる。
ったく、何なんだ。
今日のコースはお弁当持ってお茶会。だったはずなのに、俺の周囲には既にそこら辺から蝶々が舞ってる気がする。

しかもあいつ等の頭の上に、だ。

ふう、と溜め息を吐く俺の傍らには毎度同じ被害者、咲良姫がくすくすと笑っている。
全く、このお姫さんも毎回毎回大変だよな。
そう思いながら俺は草の上に寝そべってみる。

気持ち良い。

そんな事を考えながら咲良姫をチラリと見ると、この上なく優しい表情で蝶々カップル達を眺めてる。

つまんなく、無いんだ。
毎回皆に置いてけぼりにされる俺と咲良姫は2人になってもあまり話さない。
何だかこの姫はいつもどこか達観してる感じがする。
まぁ、話さなくても別に苦痛でも何でも無いから良いんだけど。

言うなれば、彼女は一番大人なのかもしれない。

彼女はいつも俺の横にそっと座って、いつも周囲の精霊たちや、蝶々カップルに微笑んでる。

「なぁ、姫さん」
「何ですか、鴻さま」
にこやかに彼女がこっちを見ると、俺は寝そべったままで話す。

「姫さんさ、つまらなくないの?毎回あいつらに振り回されて」
「まぁ、鴻さまったら」

ころころと鈴を振った様に彼女は笑いながらやんわりと否定。

「つまらなくなんて―――――楽しいわ」
「でもさ、毎回俺と2人で待ってるだけじゃん。どこか行きたく無いの?」
「そんな。前は温泉も行ったし、いつもとっても楽しいです」
「ふうん」

そっか、2人でも、別に話さなくても、つまらなく無いんだ。
そう思うと、ちょっと嬉しい。
温泉では最悪な事になったけどさ。
早く忘れたい思い出の1つだ。
それにしても、裸見られた事とかさ、全く気にしてない所が本当、大人だよ。

「ところでさ、風華祭では歌うんだろ?俺聞いたこと無いから楽しみにしてるんだ」
「鴻さまも演奏して下さるんでしょう?」
「げ。それは無い無い」

俺は手を振って否定すると、彼女はどうして?と言わんばかりに俺の顔を覗き込んだ。

「俺、下手だもん」
「そんな事、解らないわ。どれに、あの花が竪琴を出したのですもの。類稀ない才能がきっと有ると」
「あれは涼だけに出たのさ」
「まぁ」
「涼の竪琴は上手いぞ。きっと姫さんの歌に合うよ」
「鴻さまの竪琴が聞きたいわ」
「それは無理だ」

彼女の訝しる顔にハッキリと断言すると、俺は瞳を閉じた。
俺には弾けない。

だって、姉上を想い出してしまうから。

涼にはもう緋冴姫がいるから大丈夫だろうけど、俺にはまだ辛い。
ごめんな、姫さん。

そう思いながら俺はゆっくりと毎回恒例の昼寝にゆっくりと沈み込んで行った。



鴻←
やっぱり鴻にも彼女がねッ!
て事でまたもサイドストーリー開始ッ!