大きく放たれた扉に驚いて蒼迦の後方に居た彼女が振り向く。
「雹く、ん」
小さく声を出しながら、慌てて蒼迦に頭を下げ、彼女が少年に向かって足早に向かう姿を蒼迦は鏡越しに見つめていた。
―――――ふゆね
きっと彼女の名前なんだろう。蒼迦に告げる前に別の男からの言葉で聞いてしまったのは多少腹立たしいが、まぁ、彼女の名前が解っただけで、良しとしよう。
「だから、無理なのよ」
「俺はヤダ。だいたい、冬音は俺の専属だろッ!他の人に代わって貰ってくれよ」
店中に聞こえるであろうその声は明らかに彼女と後に入って来た少年のものだろう。
彼女は必死に宥めている感じだ。
―――――専属、ね。
「雹くん、我がまま言わないで・・・・・ね?じゃぁ、終わるまで待っててくれる?」
「それもヤダ。時間無いし、何より冬音が他の男の髪触るなんて許せない」
「雹くん、そんな無茶な」
明らかに拗ねた口調の少年に、彼女は何と言えば良いのか解らない様だ。
―――――――他の男の髪を触らせたくない、ね。
まるで自分の様だな。蒼迦は知らず自嘲めいた笑みを唇に浮かべた。
流迦は今頃どうしているだろう。
今頃・・・・・・
きっとあの火の王子と逢引き何ぞしているかも知れんッ!
ふるふると震える唇をギュッと噛み締めると、蒼迦は心の中で憤りを感じた。
あんの若造がッ!
全く、流迦に即手を出したら抹殺してやる・・・・・ッ。
はッ、そうだ、緋冴に言って多少監視の目を出しておかねば・・・・・ッ。
「あの、お客さま、すみません」
蒼迦が心の中で燦と流迦の事を考えながら顔をしかめていると、不意に申し訳無さそうな声が背後から聞こえた。
ハッと鏡を見ると、先ほどの彼女だ。
「あの・・・・・」
「ああ、構わない。―――――他の男に触れさせたくないほどなんて・・・・愛されているんだな」
微笑みながら呟く蒼迦の言葉に、彼女―――――冬音はサッと頬を赤らめた。
「そ、そんな・・・違います。あの、違います・・・・」
消え入りそうな声で慌てて首を振る冬音に蒼迦は優しく微笑むと、つと、敵意の籠った視線を感じ、視線の方向へ瞳を走らせた。
見ると、茶色の髪の少年が立っている。
何より透きとおる様な白い肌をしたその少年はその瞳を真っ直ぐに蒼迦に向けていた。
正確には、睨んでいる、と言ったところか。
まだまだ幼さの残るその表情。しかし、敵意の籠った瞳は、嫉妬そのもの。
――――――しかし。彼女には少し歳若い、か・・・・・?
訝しそうに蒼迦が瞳を細めると、冬音が小さくまた謝罪の言葉を出した。
「冬音ッ!早くッ!」
苛立ちを露わに少年が声を荒げると、冬音は困った様に蒼迦を見た。
「行ってあげてくれ。俺は平気だから」
「はい、あの、本当にすみません」
ハイ、晴れ時々から雹くん登場です!
晴れ時々ハレ!は桂 飛鳥ちゃんのブログから読んで見て下さいませ!
雨粒の落ちる頃には。
「雹く、ん」
小さく声を出しながら、慌てて蒼迦に頭を下げ、彼女が少年に向かって足早に向かう姿を蒼迦は鏡越しに見つめていた。
―――――ふゆね
きっと彼女の名前なんだろう。蒼迦に告げる前に別の男からの言葉で聞いてしまったのは多少腹立たしいが、まぁ、彼女の名前が解っただけで、良しとしよう。
「だから、無理なのよ」
「俺はヤダ。だいたい、冬音は俺の専属だろッ!他の人に代わって貰ってくれよ」
店中に聞こえるであろうその声は明らかに彼女と後に入って来た少年のものだろう。
彼女は必死に宥めている感じだ。
―――――専属、ね。
「雹くん、我がまま言わないで・・・・・ね?じゃぁ、終わるまで待っててくれる?」
「それもヤダ。時間無いし、何より冬音が他の男の髪触るなんて許せない」
「雹くん、そんな無茶な」
明らかに拗ねた口調の少年に、彼女は何と言えば良いのか解らない様だ。
―――――――他の男の髪を触らせたくない、ね。
まるで自分の様だな。蒼迦は知らず自嘲めいた笑みを唇に浮かべた。
流迦は今頃どうしているだろう。
今頃・・・・・・
きっとあの火の王子と逢引き何ぞしているかも知れんッ!
ふるふると震える唇をギュッと噛み締めると、蒼迦は心の中で憤りを感じた。
あんの若造がッ!
全く、流迦に即手を出したら抹殺してやる・・・・・ッ。
はッ、そうだ、緋冴に言って多少監視の目を出しておかねば・・・・・ッ。
「あの、お客さま、すみません」
蒼迦が心の中で燦と流迦の事を考えながら顔をしかめていると、不意に申し訳無さそうな声が背後から聞こえた。
ハッと鏡を見ると、先ほどの彼女だ。
「あの・・・・・」
「ああ、構わない。―――――他の男に触れさせたくないほどなんて・・・・愛されているんだな」
微笑みながら呟く蒼迦の言葉に、彼女―――――冬音はサッと頬を赤らめた。
「そ、そんな・・・違います。あの、違います・・・・」
消え入りそうな声で慌てて首を振る冬音に蒼迦は優しく微笑むと、つと、敵意の籠った視線を感じ、視線の方向へ瞳を走らせた。
見ると、茶色の髪の少年が立っている。
何より透きとおる様な白い肌をしたその少年はその瞳を真っ直ぐに蒼迦に向けていた。
正確には、睨んでいる、と言ったところか。
まだまだ幼さの残るその表情。しかし、敵意の籠った瞳は、嫉妬そのもの。
――――――しかし。彼女には少し歳若い、か・・・・・?
訝しそうに蒼迦が瞳を細めると、冬音が小さくまた謝罪の言葉を出した。
「冬音ッ!早くッ!」
苛立ちを露わに少年が声を荒げると、冬音は困った様に蒼迦を見た。
「行ってあげてくれ。俺は平気だから」
「はい、あの、本当にすみません」
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雨粒の落ちる頃には。
