涼がゆっくりと緋冴に近付くと、緋冴は静かにその場に腰を下ろした。
続いて涼がその傍らに膝を付き、その指先を取ると、緋冴は小さく笑った。
「何だ」
「――――――鴻と何を話してたの」
「幼い頃の王子たちの話を聞いていたのだ」
「小さい頃?」
涼の指先が緋冴の指先を優しく撫でる。その感覚がくすぐったい。
けれど、不快感は全く無い。むしろ心地よく感じるのは何故だろう。
涼の指先はまるで鳥の羽の様に柔らかで、滑らかだ。
「鴻は――――――僕より姉上たちにべったりだったんだ。甘えっ子でね。僕はいつも一歩離れて見てたところが有るんだよ。でも鴻はいつも僕と一緒に、ってね。ふふ。一緒じゃ無いと嫌だって駄々こねるんだ。僕は長子だから、変に気負っていてさ。だから鴻が居てくれて良かったんだろうな、きっと」
涼の言葉に緋冴が頷くと、涼は照れた様に微笑んだ。
「姉上ほど気高い人たちは居なかった。美しさも、強さも。―――――――そう思って僕たちは生きて来た。何て狭い考えだったのかって。燦や風姫、歌姫・・・それに何より、姫―――――――貴女に会って」
そう言うと、涼は不意に緋冴の指先に自身の指先を絡めた。
瞬時にピク、と緋冴の身体が揺れ動く。
「今日騙してでも、貴女と2人切りになりたかった」
緋冴が涼を見上げると、涼の真剣な瞳が緋冴を見ている。
「僕は、貴女が好きだ」
「王子」
「――――――名前で呼ばないの」
「それは、」
頬を紅潮させて行く緋冴の困った顔を見つめながら、涼は緋冴と絡み合う指先に力を込める。
「あ・・・・・ッ」
不意に訪れた甘い痛みに緋冴が顔を顰めると、涼は絡んだ指を離し、緋冴の華奢な身体を抱き締めた。
「王子ッ」
咎める声を無視し、その柔らかい身体を自分の腕の中に閉じ込めると、緋冴の芳しい匂いを一杯に吸い込む。
「気持ち良い」
「もう!」
「気持ち良くない?こうしてくっついていると」
「・・・・・・・」
緋冴はその問い掛けには答えず、ただ黙ってその頭を涼の肩先に預けて行く。
その可愛らしい仕草に、涼は心の中で高々と腕を上げた。
――――――可愛過ぎる・・・・。
腕の中で身じろぎもしない緋冴の背中や肩を優しく撫でると、緋冴の唇から小さく非難めいた声が上がる。
――――――焦っちゃいけない。
姫はまだまだウブなんだから・・・・。
そう考えながら、涼は満面の笑みをその美貌に湛えた。
■□■□■□■□■□
「なぁ・・・・・結局俺ら何しに来たんだ?」
「―――――お前にだけは言われたくない!」
燦と鴻の声が遥か彼方から聞こえる。
「だいたい、お前が変に心配するからだろうがッ!見ろ、この惨状をッ!涼に言われてこっちに帰って来て見ればッ!」
そう、燦と鴻は2人、火竜の背に背中合わせで座っていた。しかも目隠しまでしている。
緋冴と涼をあの場に残し、帰って来たところをたまたま湯の中から出て来た咲良の裸体を見てしまったので有る。
あの時―――――――咲良は別段慣れているかの様にさっさとその場の花を撒き散らし鴻と燦の視界を隠した。その後、怒りに震える流迦の手によって風で身体の動きを封じ込められているのである。
「だいたい、お前は怒られて当然だろうが、別に俺は風姫に怒られる筋合いは無いッ!」
「なッ!お前だってその・・・咲良さまの裸見ただろうがッ!同罪だッ!」
「何が同罪だ、このバカッ!俺は、チラッとだッ!一瞬だッ!お前が見過ぎだったんだろッ!」
「バッ・・・・・・!そりゃ、その・・・・見たけどさ・・・・」
「ホラ見ろ!お前のせいだッ!」
「――――――そうですわね」
「そうですか、燦さま・・・・・・・」
燦と鴻の会話の応酬に、静かに柔らかい声と、怒りを抑えているで有ろう声が飛び込んだ。
パチン、と目隠しを取られると、目の前には呆れた笑みを浮かべる咲良と、ふるふると身体を震わせる流迦の姿。
―――――――や、ばい
こくんと喉を鳴らす燦。
「そうですか・・・・・・そんなに咲良の裸がッ・・・・・・・」
「いや、違う、違うぞ、流迦、いや待て何だその風の塊ッ!死ぬッ、それはマジで死ぬからさッ―――――!!」
その後、燦が流迦の機嫌を直す為、奔走したのは言うまでも無い。
おしまい。
いや、今回は長かった「温泉へ行こう」へお付き合い下さり、ありがとうございます。
またちょこちょここんな感じでサイドストーリーを作れたら良いな、と思いつつ(笑)
だって面白いんだもんッ←
次は誰と誰をくっ付けようかなぁ・・・・
お好きなカップリング有りますか?(聞いてみる)
続いて涼がその傍らに膝を付き、その指先を取ると、緋冴は小さく笑った。
「何だ」
「――――――鴻と何を話してたの」
「幼い頃の王子たちの話を聞いていたのだ」
「小さい頃?」
涼の指先が緋冴の指先を優しく撫でる。その感覚がくすぐったい。
けれど、不快感は全く無い。むしろ心地よく感じるのは何故だろう。
涼の指先はまるで鳥の羽の様に柔らかで、滑らかだ。
「鴻は――――――僕より姉上たちにべったりだったんだ。甘えっ子でね。僕はいつも一歩離れて見てたところが有るんだよ。でも鴻はいつも僕と一緒に、ってね。ふふ。一緒じゃ無いと嫌だって駄々こねるんだ。僕は長子だから、変に気負っていてさ。だから鴻が居てくれて良かったんだろうな、きっと」
涼の言葉に緋冴が頷くと、涼は照れた様に微笑んだ。
「姉上ほど気高い人たちは居なかった。美しさも、強さも。―――――――そう思って僕たちは生きて来た。何て狭い考えだったのかって。燦や風姫、歌姫・・・それに何より、姫―――――――貴女に会って」
そう言うと、涼は不意に緋冴の指先に自身の指先を絡めた。
瞬時にピク、と緋冴の身体が揺れ動く。
「今日騙してでも、貴女と2人切りになりたかった」
緋冴が涼を見上げると、涼の真剣な瞳が緋冴を見ている。
「僕は、貴女が好きだ」
「王子」
「――――――名前で呼ばないの」
「それは、」
頬を紅潮させて行く緋冴の困った顔を見つめながら、涼は緋冴と絡み合う指先に力を込める。
「あ・・・・・ッ」
不意に訪れた甘い痛みに緋冴が顔を顰めると、涼は絡んだ指を離し、緋冴の華奢な身体を抱き締めた。
「王子ッ」
咎める声を無視し、その柔らかい身体を自分の腕の中に閉じ込めると、緋冴の芳しい匂いを一杯に吸い込む。
「気持ち良い」
「もう!」
「気持ち良くない?こうしてくっついていると」
「・・・・・・・」
緋冴はその問い掛けには答えず、ただ黙ってその頭を涼の肩先に預けて行く。
その可愛らしい仕草に、涼は心の中で高々と腕を上げた。
――――――可愛過ぎる・・・・。
腕の中で身じろぎもしない緋冴の背中や肩を優しく撫でると、緋冴の唇から小さく非難めいた声が上がる。
――――――焦っちゃいけない。
姫はまだまだウブなんだから・・・・。
そう考えながら、涼は満面の笑みをその美貌に湛えた。
■□■□■□■□■□
「なぁ・・・・・結局俺ら何しに来たんだ?」
「―――――お前にだけは言われたくない!」
燦と鴻の声が遥か彼方から聞こえる。
「だいたい、お前が変に心配するからだろうがッ!見ろ、この惨状をッ!涼に言われてこっちに帰って来て見ればッ!」
そう、燦と鴻は2人、火竜の背に背中合わせで座っていた。しかも目隠しまでしている。
緋冴と涼をあの場に残し、帰って来たところをたまたま湯の中から出て来た咲良の裸体を見てしまったので有る。
あの時―――――――咲良は別段慣れているかの様にさっさとその場の花を撒き散らし鴻と燦の視界を隠した。その後、怒りに震える流迦の手によって風で身体の動きを封じ込められているのである。
「だいたい、お前は怒られて当然だろうが、別に俺は風姫に怒られる筋合いは無いッ!」
「なッ!お前だってその・・・咲良さまの裸見ただろうがッ!同罪だッ!」
「何が同罪だ、このバカッ!俺は、チラッとだッ!一瞬だッ!お前が見過ぎだったんだろッ!」
「バッ・・・・・・!そりゃ、その・・・・見たけどさ・・・・」
「ホラ見ろ!お前のせいだッ!」
「――――――そうですわね」
「そうですか、燦さま・・・・・・・」
燦と鴻の会話の応酬に、静かに柔らかい声と、怒りを抑えているで有ろう声が飛び込んだ。
パチン、と目隠しを取られると、目の前には呆れた笑みを浮かべる咲良と、ふるふると身体を震わせる流迦の姿。
―――――――や、ばい
こくんと喉を鳴らす燦。
「そうですか・・・・・・そんなに咲良の裸がッ・・・・・・・」
「いや、違う、違うぞ、流迦、いや待て何だその風の塊ッ!死ぬッ、それはマジで死ぬからさッ―――――!!」
その後、燦が流迦の機嫌を直す為、奔走したのは言うまでも無い。
おしまい。
いや、今回は長かった「温泉へ行こう」へお付き合い下さり、ありがとうございます。
またちょこちょここんな感じでサイドストーリーを作れたら良いな、と思いつつ(笑)
だって面白いんだもんッ←
次は誰と誰をくっ付けようかなぁ・・・・
お好きなカップリング有りますか?(聞いてみる)