涼と鴻に対する褒賞が与え終わり、図らずも風華祭の演奏者を受諾し終わった頃には、燦に抱え込まれていた灼鳴は自身の足で立てるほど回復していた。
それはそうだろう、陽の一族が灼鳴の周りに気を張り巡らせ、自身の気を送り続けていたからだ。
灼鳴はゆっくりと燦の腕から離れると焔の傍らに立ち、その腕に抱き締められると安心しきった顔で微笑む。
その姿に王たちは安堵の表情を向けていた。
涼と鴻、そして燦と流迦はそんな姿に安堵しながら知らず集まって行く。
先程までの殺気立った状況は一転して柔和な雰囲気に包まれている。
だが、王たちの真実の心はいかばかりだろう――――――
焔にしては火宮に侵入者を許したばかりか、灼鳴に傷を負わされたのだ。しかも綾迦や涬まで居たのにも関わらず、で有る。
結界をすり抜ける力を全員が全員持っていたとは限らない。
何故だ。何故―――――
「燦。俺たちはまだまだ、だな。明日から鍛錬を増やそうと思う。付き合ってくれるか?」
燦の心情を察したのか、鴻からの提案に燦は力強く頷いた。
明日から、龍迦さまや姉上にお願いしてでも鍛練を付けて貰おう。そうだ、青藍や隼にも・・・・
そう燦が考えていると、横から涼やかな声が燦たちに降った。
「私が稽古を付けてやろう」
「綾迦さまッ?」
「お母さま・・・・本当に?」
流迦の驚きの声が出たのは幸いだった。燦や涼、鴻は驚きの余り、声さえ出なかったのだ。
「何だ、不満か?」
綾迦の呆れた声に燦はこれでもか、と首を振った。
綾迦に稽古を付けて貰えるなど、とんでもない事だ。
授けて貰いながらも使いこなせない隼にしても、上手く扱える様になるかもしれない。
「よし、決まったな。風華祭まで時間が無い。――――――灼鳴の事が無ければ色々調べに出掛けたかったが、そう言う訳にもいかなくなってしまった。行き当たりばったりで有れ、お前たちを強くしている方が良いだろう」
そう言うと、綾迦は流迦を見た。
「流迦は舞の練習に励めよ」
「はい」
「咲良もやがて回復するだろう・・・・そうなれば風華祭の準備で忙しくなるだろうからな・・・・・その前に前夜祭でもやるか。なあ、水の王子」
「前夜祭」
「いや、まあ、皆で飲んで騒ぐだけの話だ」
カラカラと笑い声を上げながら嬉しそうな表情を浮かべると、綾迦は優しく鴻の肩に手を置いた。
「私の稽古はなかなか厳しいぞ」
「僕は遠慮したいかもしれないですね」
涼が涼しげな目元を綻ばせながらそう言うと、綾迦は小さく呟く。
「残念だな、緋冴も必ず来るのに・・・・そうか、来ないのか・・・・うん、全く残念だ」
綾迦のおどけた調子に涼は眉を顰めると、ほんの少したじろいだ顔で行きますよ、と呟いた。
勿論、そのやり取りを見ながら燦たちが吹き出したのは言うまでもないだろう。
いつもは全く顔色を変えない涼が綾迦の言葉1つであたふたと表情を変える。
その姿からはいつもの大人びた表情は無く、まるで子供だ。
綾迦にかかると皆素顔になって行くのでは無いだろうか・・・・
――――――俺もいつか、こんな王になれれば・・・・・
燦は不意に過った考えを頭の片隅に押し遣りながら、綾迦の顔をしばし見つめ、そして笑いを押し殺した。
――――――うん、無理だな、まだまだ俺じゃ。
綾迦から学べるものを学べれば良いのだ。
そう考えると、また鴻が燦と視線を合わせ、力強く頷いた。
鴻―――――――!!
どんどん良い男になって行くな、オイ(笑)
それはそうだろう、陽の一族が灼鳴の周りに気を張り巡らせ、自身の気を送り続けていたからだ。
灼鳴はゆっくりと燦の腕から離れると焔の傍らに立ち、その腕に抱き締められると安心しきった顔で微笑む。
その姿に王たちは安堵の表情を向けていた。
涼と鴻、そして燦と流迦はそんな姿に安堵しながら知らず集まって行く。
先程までの殺気立った状況は一転して柔和な雰囲気に包まれている。
だが、王たちの真実の心はいかばかりだろう――――――
焔にしては火宮に侵入者を許したばかりか、灼鳴に傷を負わされたのだ。しかも綾迦や涬まで居たのにも関わらず、で有る。
結界をすり抜ける力を全員が全員持っていたとは限らない。
何故だ。何故―――――
「燦。俺たちはまだまだ、だな。明日から鍛錬を増やそうと思う。付き合ってくれるか?」
燦の心情を察したのか、鴻からの提案に燦は力強く頷いた。
明日から、龍迦さまや姉上にお願いしてでも鍛練を付けて貰おう。そうだ、青藍や隼にも・・・・
そう燦が考えていると、横から涼やかな声が燦たちに降った。
「私が稽古を付けてやろう」
「綾迦さまッ?」
「お母さま・・・・本当に?」
流迦の驚きの声が出たのは幸いだった。燦や涼、鴻は驚きの余り、声さえ出なかったのだ。
「何だ、不満か?」
綾迦の呆れた声に燦はこれでもか、と首を振った。
綾迦に稽古を付けて貰えるなど、とんでもない事だ。
授けて貰いながらも使いこなせない隼にしても、上手く扱える様になるかもしれない。
「よし、決まったな。風華祭まで時間が無い。――――――灼鳴の事が無ければ色々調べに出掛けたかったが、そう言う訳にもいかなくなってしまった。行き当たりばったりで有れ、お前たちを強くしている方が良いだろう」
そう言うと、綾迦は流迦を見た。
「流迦は舞の練習に励めよ」
「はい」
「咲良もやがて回復するだろう・・・・そうなれば風華祭の準備で忙しくなるだろうからな・・・・・その前に前夜祭でもやるか。なあ、水の王子」
「前夜祭」
「いや、まあ、皆で飲んで騒ぐだけの話だ」
カラカラと笑い声を上げながら嬉しそうな表情を浮かべると、綾迦は優しく鴻の肩に手を置いた。
「私の稽古はなかなか厳しいぞ」
「僕は遠慮したいかもしれないですね」
涼が涼しげな目元を綻ばせながらそう言うと、綾迦は小さく呟く。
「残念だな、緋冴も必ず来るのに・・・・そうか、来ないのか・・・・うん、全く残念だ」
綾迦のおどけた調子に涼は眉を顰めると、ほんの少したじろいだ顔で行きますよ、と呟いた。
勿論、そのやり取りを見ながら燦たちが吹き出したのは言うまでもないだろう。
いつもは全く顔色を変えない涼が綾迦の言葉1つであたふたと表情を変える。
その姿からはいつもの大人びた表情は無く、まるで子供だ。
綾迦にかかると皆素顔になって行くのでは無いだろうか・・・・
――――――俺もいつか、こんな王になれれば・・・・・
燦は不意に過った考えを頭の片隅に押し遣りながら、綾迦の顔をしばし見つめ、そして笑いを押し殺した。
――――――うん、無理だな、まだまだ俺じゃ。
綾迦から学べるものを学べれば良いのだ。
そう考えると、また鴻が燦と視線を合わせ、力強く頷いた。
鴻―――――――!!
どんどん良い男になって行くな、オイ(笑)