王たちの集う部屋へと入るまで、それから流迦とお互い会話を交わす事も無かった。
胸にチクリ、と刺す痛み。
それが何か、解り過ぎるほどに解っている。
黙り込む2人を、後方から美貌の双子はどんな想いで見つめているのか・・・
涼と鴻の溜め息が聞こえてきそうだ。
部屋に入ると、案の定、蒼迦が流迦に走り寄り、その身体を抱き締めた。
苦しそうに息を吐く流迦の姿は全く嫌がっていない様にも見える。
―――――――そんな風に思っちゃ駄目だ。
そう考えれば考えるほど、燦の体内に黒い嫉妬と言う名の炎が鎌首をもたげて来る。
そんな自分の黒い思いを振り切る様に綾迦たちの傍に近付く。
相変わらず抱き締められたままの流迦をその場に残しながら。

「ガキ・・・」
小さく呟く鴻の言葉は険を含んではいない。なのに何故か癪に触る。
鴻に何が解るんだ。畜生。そう思いながら、鴻を見ると、優しく肩を叩かれた。
「力。抜けよ、バ―――――カ」
そう言って笑う鴻の笑顔が何だかいつも以上に綺麗に見えて、そう思う自分の気持ちがすうっと落ち着いて行くのが解る。
「鴻、俺・・・・」
「あ――――――、後で何でも聞いてやるよ。だけどな、今はカッコ付けてろ。良いか?俺らが後ろに付いてること、忘れんな」
その鴻の言葉に涼も静かに微笑みながら頷く。
だいぶ慣れたとは言え、やっぱり心臓に悪い笑みだ。
「涼・・・鴻・・・」
「おっ、今俺めっちゃ良い事言ったな、きっと」
そう言って照れながら笑う鴻に燦も素直に笑みを返すと、大きく頷いた。
と、小さな羽音を立てながら青藍が嬉しそうに燦の肩に飛び乗って来る。
『燦さま』
「青藍・・・大丈夫か?その――――結界張る時、また力・・・」
『何の、あれしき。さ、灼鳴さまのところへ。もう大丈夫でございますよ』
「そうか!義母上・・・・良かった・・・さすがは華王さまだな」
青藍の言葉に安堵の声を出すと、青藍は困った様に小さな頭を振る。
『いえ、それが・・・・実は灼鳴さまは穢れに侵されつつ有りました。その穢れを吸い取ったのは――――闇姫さまなのです』
「闇姫、さまが・・・・・」
『灼鳴さまには更に妖獣の呪まで掛けられていました。それを全て消し去ることが出来たのは闇姫さまのお陰、と言うところです。ま。煌さまにも勿論出来るんですけどね』
ふん、と鼻を鳴らしながら告げると、青藍は羽で燦の頬をはたく。
「何すんだッ」
『ふん、何でも有りませんよ』
何でも無いならはたかないだろうがッ!
「しかし、妖獣の呪、とはね・・・・・」
「それって、そんなに凄いものなのか」
燦がそう呟くと、涼と鴻が呆れた様に頭を抱えた。
「燦・・・・君は、」
「そんな事も知らんとはな。これで火の王子とは・・・・・・情けないにも程が有るッ!」
涼の言葉を遮り、燦に辛辣な言葉を投げつけたのは鋭い視線を燦に向ける、蒼迦だった。





はい、いじめっ子蒼迦、参上!