「平気ですか、闇姫さま」

龍迦の腕の中で苦しそうに顔を歪める朧に龍迦は優しく声を掛けた。

だが、朧は軽く横を向いただけで答える事は無い。

その意固地な姿にほんの少し困った微笑みを浮かべながら、龍迦はどこか良い部屋は無いか、と逡巡を繰り返していた。

流石にずっと抱き抱えているのは朧にとって耐え切れないだろう――――――

自尊心の強さをいつも表に出しているのだ、その気持ちを考えると、龍迦は次第に足早になって行く。

確か、この辺りに・・・・

昔緋冴や蒼迦と隠れ遊んだ場所が有ったはずだと思い出し、龍迦はその部屋を開け、中に記憶と同じ寝台が有った事にホッとしながら朧を横たえた。

「ここなら、しばらくは誰も来ません」

「―――――そう」

肩で息をしながら無理に声を出し、そのまま朧は苦しそうな呼吸を繰り返している。

何か要るものは無いか、と問い掛けたかったが、今声を掛ける方が彼女には辛いだろう。

しばらく考えると、龍迦はおもむろに傍に有った椅子に腰かけた。

「何か用が有れば言ってください。――――此処にいますから」

「・・・・・」

龍迦の言葉にほんの少し眉間に皺を寄せ、しかし朧は小さく頷いた。

そのままゆっくりと呼吸を整えたかと思うと、そのまま小さく呼吸が刻まれる。

やがて規則正しい呼吸になったかと思うと、彼女が寝てしまった事に気付き、龍迦はそっと傍に有った布を朧に掛けた。

「・・・・・・・ん」

小さな吐息と共に、朧の声が聞こえる。

余程苦しかったのだろう。朧の額には玉の様な汗が浮かんでいる。

顔色も相変わらず悪いままだ。

穢れを吸い取る事が出来るとは――――――。

やはり先代の王、朔の力を受け継いでいるだけは有る。

ふと見ると、朧のぴったりと閉じられた瞳の眼尻にうっすらと涙が光っていた。

苦しいのだろうか・・・・・

一瞬躊躇いながらその涙を指先で拭うと、朧の腕が龍迦の腕に絡んだ。

起こしてしまったか、と慌てて朧を見ると、やはり瞳は閉じられている。

無意識のうちに腕を絡めて寝てしまうのは、流迦にも有った癖だった。

そう思い出すと、龍迦は自然に朧の長い髪をゆっくりと撫で、その寝顔を見つめる。

長い睫毛に縁取られた瞳、白い肌。長い髪は輝きを放ち、尚且つその豊満な肢体が流迦とは違うと感じられた。

しかし、何故だか龍迦には朧と流迦が似ている気がしてならない。

顔や身体付きでは無い――――――そう本質、と言うものか。

さらりと、朧の頬に掛かった髪をかき上げると、不意に胸が高鳴る。

―――――――ッ。

龍迦は慌てて首を振った。





はい、龍迦恋愛フラグ←

朧さまと恋愛しちゃうのは龍迦なのかッ?(笑)