化け物め―――――

そう言い放った綾迦は再び燦に視線を送ると、1つ頷き、そして指を鳴らした。

その乾いた音と共に「やれやれ・・・」と青藍の声が聞こえる。

そしてヒュッと風を切ると、瞬時に見慣れた小さな鳥の姿に戻った。

ヒラヒラ、と羽を数枚落として首を振ると、羽を伸ばして空中に飛び上がる。

「青藍」

綾迦の呼び声に青藍は軽く旋回してから綾迦の肩に留まると、羽をゆっくりと閉じた。

「調べて欲しい事がある。その侵入した少女の事だが・・・・やはり気になる」

『どう気になるのですか?風矢さま』

「―――――期待と失望が入り混じって居るのでな」

そう呟きながら優しく青藍の頭を撫でる。

「青藍。―――――土王を」

土王の名を出した事で、一気に周囲がざわめく。

「まず土王の元に今何人の精霊が集っているかを。そして土と闇の現時点での関係を。そして水の聖域を全て回ってくれ」

『解りました、風矢さま』

「いや、青藍・・・・何でそんなに口調変わるんだって!いや、そんな事より、それは青藍だけでは危険では無いでしょうか、綾迦さま」

燦が思わず口に出すと、綾迦は小さく微笑み、優しい視線を青藍に向け、羽を撫でた。

「青藍は強い。そんじょそこらの奴に負けはせぬよ」

「いや、燦の言う事も尤もだ。良し、燦も行け」

間髪入れずに焔が顔と口を出すと、涬も何度か頷く。

『――――1人で充分ですが』

「いや、燦。行け。そうさな・・・・風華祭までどっか行け」

「はッ?!」

焔の言葉に素っ頓狂な声を燦が上げると、綾迦が何かに気付いた様ににんまりと笑い、頷いた。

「そうだな、良し。燦も同行しろ。うんうん、解っておる。流迦もしばらくは同行させよう」

「はい?!」

綾迦と焔、そして涬の何かを企んだ笑顔に訝しげに燦が首を傾げると、青藍が軽やかな羽音をさせ、燦の肩に飛び移る。

『さてさて緊張感が無くなって来ましたね』

「いや、だからお前のその口調・・・・」

燦が呆れた声を出すと、青藍は素知らぬ顔で羽で燦の頬をはたいた。

『小さき事です。その様な事は』

どこがだッ!

はたかれた頬を擦りながら、青藍を恨めしく見つめると、自業自得だ、といつもの声が聞こえた気がした。

自業自得って・・・・・

「では私も。燦だけでは・・・」

緋冴が話に入ってくると、その緋冴の肩を優しく抱き留める涼の姿が眼に入った。

「姫はダメ。――――危険だから」

「危険って・・・そんな処だからこそ・・・」

「ダメなものはダメ」

涼がほんの少し拗ねた口調なのは気のせいだろうか?

本当に緋冴を行かせたくないらしい。

「じゃ、涼が行くのか?」

「鴻が行けば良い」

「まぁ・・・そんな。どうしましょう、綾迦さま」

話の中に全員が加わると、咲良は首を傾げて綾迦を見た。

「何とまあ。これはなかなか楽しくなって来たの。なあ、焔。涬」

順に子供達を嬉しげに見つめると、綾迦は先程の険しい表情など感じさせないほど艶やかに笑った。






疲れからなのか風邪で昨日から熱で大変でした・・・トホホ

皆さまもお風邪など引かれません様にお気を付け下さいませ。