◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇Far expectation 5
「君が言っている事は、どれだけ大変な事か解ってる?」
美水の真剣な眼差しを真っ向から朔は受け止めながら、慎重に言葉を選び、話し出した。
「確かに、ここ最近の妖獣や幻獣の出現は多いかもしれない。だけど、それをどうして闇王のせいだと言えるのか・・・・何か確実な証拠でも有るのかな。成程、確かに婚約者どのが言うように闇王は少々性格に難が有るのは認めるよ。だけどそれだけで闇王が原因、と言うならば僕は水王さまを見損なってしまうよ」
朔の言葉に美水は頷く。
「確かに。朔さまの仰る事は尤もですわ。実は今回も水王さまはまだ朔さまにお伝えするのは時期尚早、とお考えでした。しかし、透さまはそうはお考えでは有りませんでした。透さまは土王の王子、棗さまから朔さまの事を何度か聞き及んでいたのです・・・棗さまのお話から、朔さまのご性格や、教養・・・勿論お力も全て考えに考えられた上で、今回、朔さまならばご理解頂けると、そう考えたのです」
棗の名前が出た瞬間、朔の脳裏に棗のやけに楽しそうな表情が浮かんだ。
「棗と、その婚約者は面識が有るの?」
「ええ、そうです。棗さまは第2王子、涬さまとは幼馴染の様なものなのです。いつも、朔さまのご自慢ばかりされて・・・私たちもいつ朔さまにお会い出来るかと、楽しみにしておりました。如何せん、この様な時期にお会いしたのは残念ですけれど・・・」
そう言うと、美水は瞼を伏せ、瞳を瞬かせた。
「棗は・・・それに土王さまはどう思ってらっしゃるんだ?」
「それは――――私たちの王では無い方の意見を私が言うべきでは有りません。しかし、朔さまがお尋ねになられれば、必ずご自分の意見を仰って頂けると」
「・・・・・・闇の一族には心砕く者は無い。皆闇王の傀儡だ」
朔は寂しそうに呟くと、美水の顔を真っ直ぐに見つめ、その表情を窺った。だが、美水の表情は最初から変わらず、自身の考えに絶対の自信を持っていた。
「母上は病でずっと床に就いている―――」
「では水宮に着きましたら華の一族さまを呼びましょう。きっとご病気も良くなりますわ」
「治せる、とは思えない・・・闇王も無理だと」
まあ、と美水は大きく瞳を見開くと、小さく首を振り、微笑んだ。
「いいえ、朔さま。――――安心なさって下さい。必ず快方に向かいますわ」
私にお任せ下さい、と小さく美水は呟く。
「棗は・・・・・」
「棗さまも後から水宮へ来られますわ」
やれやれ、と朔は両手を掲げると、溜め息交じりに呟いた。
「何もかも、全て終わっているんだね。良いだろう、このまま家出、と洒落込もうじゃ無いか」
「朔さま・・・・ありがとうございます。――――それと、気がかりな事が1つだけございます」
美水の言葉に朔は首を傾げ、思案顔を向けると、美水は言いにくそうに言葉を続けた。
「闇の4大精霊たちは・・・・やはり闇王の傍らに・・・・」
「それなら問題無い」
美水の問い掛けに朔はあっさりと言い返すと、驚いた顔をする美水に微笑んだ。
「これは棗にも言って無かったかな・・・・4大精霊はもう僕のものだから」
事も無げに髪をかき上げながら言い放ったその言葉に美水の瞳が大きく見開かれ、そして顔に満面の笑みを湛えた。
「ではもう懸念はございません。朔さま・・・・参りましょう」
美水の優しいその声音に朔は1つ息を吐くと、母のいる部屋へと闇の力を働かせた。
やっぱり激強設定、朔。
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