『青藍ッ、アンタ!』

抱き抱えられながら青藍に食ってかかる隼の形の良いお尻を青藍は軽く叩いて黙らせた。

恨みが籠った瞳で青藍を睨みつけている。

「――――風宮に行ってどうする?」

「行って決めれば良い」

青藍は顎を突き出し、ふん、と鼻を鳴らした。

「涼、鴻・・・・どう思う?」

「「父上の仰せのままに」」

涬の問い掛けに息が有った双子はすかさず言葉を返し、顔を見合わせて笑い合う。

「ふむ・・・・隼の結界も無料貸し出し中、か・・・」

『はぁ?誰が無料なのよッ!大体、青藍?今のあたしは綾迦に使役されてる訳じゃ無いのよ?我が君にそんな力は無いわ、まだまだひよっ子なんだからッ!!』

「燦が弱過ぎなのは解ってる!」

ひ、ひよっ子・・・・弱過ぎ・・・・

勿論自覚はしているが、2人にはっきり断言されるとなかなか傷付く。

白熱化して行く2人の言い合いは燦の表情など全く意にも介して無い様だ。

「くくっ・・・お前、酷い言われようだな」

「同情するよ」

「そうだろ?毎回誰かに言われ―――ッ」

鴻と涼との会話が余りに自然に入ったのに驚き、思わず後ずさる。まじまじと2人を見ると、呆れた顔で2人は微笑んでいる。

「そんなに怖がらなくても良いんじゃないかな、うん」

「全く」

「は、はぁ・・・」

怖いもんは仕方無いだろう。特に黒髪のお前ッ!

そう心の中で悪態を付いていると、鴻がにやりと笑い掛ける。

「ま、もう気にすんなよ」

「素直じゃ無いね、鴻。燦が気に入ったのかい?」

き、気に?どこがだッ!

涼の言葉への突っ込みを現実言葉に出せない自分を恨めしく思いながら、燦は目を白黒させた。

「本当だよ。そして僕もだ」

そしてまたゆっくりと微笑む。

――――犯罪だから、その笑顔。

そう言えば鴻はこんな笑い方は余りしない。外見は全く同じなのに、まさに太陽と月、と言ったところか。

「君のお母さま―――光紅、さまって言ったね?」

「は、はい」

「敬語は寄せ。疲れる」

お前が言わせてるんだッ!

「く、くくっ。もう本当に普通に話してくれないかな。鴻が君に話し掛ける度に君は百面相。お腹が捩れるよ」

「―――はぁ」

「光紅さまは強かったのか、やっぱり?!」

「それはそうだろう。火王に属さない火精霊、光紅と言えば、火の大精霊だからね」

へ?

「しかも大精霊のトップクラス。上位1位のお母さま、か。凄いよな、どんな人だったんだ?」

―――――へ?

「何か、固まってるよ。どうしたの?燦・・・」

「その話、本当なのか・・・」

「何言ってんだ、お前」

涼と鴻が心配そうに燦を覗き込むと同時に燦が呟く。

「俺、知らないんだ」