何から片付ける―――?どうする?
隼の言葉に燦は考えをまとめる為、しばらく考えると、隼に向き直って答えた。
「水王さまの処へ行こうかと思う」
『先程の話ね。陰の一族の事を知りたい―――そう言うことかしら?』
「そうだ。そして、先程の少女の事も。それから・・・土王の事も知りたいと思ってる。姉上や流迦を妾妃になど・・・」
燦が苦々しげに呟くと、隼は事もなげに告げた。
『咲良もよ。そしてあぁ、今は光王の処ね・・・宵が正妃か。ふふっ、成程。これで陽の一族は全て申し込まれた訳だ』
「なっ!」
「本当ですか、隼さま!」
思い掛けない隼の言葉に燦と流迦は憤然と聞き返した。
『精霊は嘘を付けないのよ、知ってるでしょ、流迦。―――まぁ、隠し事は出来るけど』
「陽の一族全て・・・何故なんだ」
燦の項垂れた声に隼は優しく声を掛ける。
『我が君、まずはあたしの知ってる事、ただし教えられる事を話すわね。先に断っておくけれど、それは全てでは無いし、勿論あたしの主観だから、そこは間違えないで』
そう言うと、何故全て教えてくれないんだ、と咎める眼差しを向ける燦に困った様に微笑んだ。
『そうね―――まず、さっきの咲良の力を見たでしょう。あの治癒能力は華の一族にのみ備わっているのよ。つまり、貴方達にはそれぞれ特別な力が備わっている訳なの。咲良の能力は華の一族の中でも強い方よ。彼女ならば、瀕死状態でも治せるわ、きっと。一族それぞれの力はいずれ機会が有れば王達が使い方を教えてくれる筈よ。そして、その中でも、光と火の一族は特異な力が有るわ。それは――有る宝剣を外部から守り、解放する力なの』
咲良の先程の治癒の力を思い出し、頷いていた燦はハッと顔を上げる。
宝剣・・・・?何だ、それは。
「宝剣とは、何ですか、隼さま」
『それは、天界での死者を生き返らす事が出来る剣よ』
い、生き返らす?
「どう言う事なのですかッ?何故その様なモノが・・・理に余りにも外れている・・・ッ」
「そ、それに・・確か天界で天寿を全うした者は、聖域になるのでは無いのですか?」
『ええ、ええ、そうね・・・』
隼は哀しげに瞳を伏せると、3人の顔をそれぞれ見つめた。
『本来ならば、使われる事は無いわ。だけど、実在する事は確かなのよ』
「落ち着け、烟。隼、続きを頼む」
燦は驚く烟を宥めると、隼に話の先を促した。
『そして、陰の一族にも同じく宝剣が存在するわ。―――それはあたし達天界に住む者全てを、人の身に落とす事が出来る』
人――――?人の身に?
「それ、は」
『ええ、それはこの天界で禁忌を犯した者にのみ使われる・・・最大の罰の証』
隼はほんの少し眉を顰めながら、瞳を伏せた。
『勿論、陽の一族と同じ様に簡単に使われる物では無いわ。これも土と闇の特異な力に寄って使う事が出来る』
「そんな事、知らなかった」
『ええ、王になれば知る事が出来る事の1つだからね。本来ならば貴方達が王にならなければ知る事は無かったでしょうね』
王にならなければ知る事の出来ない事・・・
その言葉を反芻しながら、燦は綾迦や焔、煌や皇の顔を順に思い出していた。
そこまで秘密にする事では無いのではないか。知っているからと言って・・・
そう考えていると、まるでその考えを見透かすかの様に隼はきつい口調で燦に話し掛けた。
『ええ、簡単に使われる物では無かったわ・・・綾迦達の大事な友人、先代の土王、そして闇王が殺されるまでは、ね。誰もが信じられなかったわ。簡単にその剣を使う者が存在するなんて』