龍迦の言葉に燦は心底安堵した。
流迦は嬉しそうに龍迦に礼を述べ、周囲の咲良や緋冴も嬉しそうに微笑んでいる。
『ちょっと、燦さま』
青藍は相変わらず燦の肩にいつの間にか留まり、小声で燦に囁いた。
「何だよ・・・」
『あそこで何やらとてつもなく嬉しそうに燦さまを見つめてらっしゃる御方が・・・』
嬉しそう?
青藍の言葉に燦は青藍の差す方向を見ると、そこには青藍の言う通り、とてつもなく嬉しそうに微笑む綾迦の姿が見えた。
・・・・・あ。
燦は思わず頭を抱えた。
『あ、燦さま?!』
「いや、青藍・・・・気にしないでくれ」
ま、間違い無いッ。綾迦のあの嬉しそうな微笑みは「見てたぞ、小童が」と伝えている様だ。
あ、後で行こう・・・。
「燦、我儘姫の子守りを頼む」
「あ、は、はいっ」
不意に龍迦に話し掛けられ、燦はどもりながら答える。
「ただし、流迦が舞っている間は、こちらの力になってくれよ」
「・・・はい」
龍迦の有無を言わせない表情に燦は頷き、結局何の力になるのかも問い掛けられないままだった。
その時、パンパン、と手を叩く音が響き渡り、音の方向を見ると、綾迦達4王が並んで立っていた。
その後ろにそれぞれの妃が並ぶ。
「さて。思いがけなく今日は皆が集まった。しかも厄介事まで持ってきてくれた訳だが」
綾迦が相変わらずの口調で話し出し、[厄介事]の所で周囲の王達を見回した。
「さて、まずは皆に伝えておく事がある。お前達もそろそろ良い妙齢になって来た。ま、つまりはそろそろ婚姻だって出来る」
綾迦の言葉に火王を除く光王、華王が頷いた。
「で。この馬鹿王達は勝手に婚約者なんぞ考えているらしい。だが私の考えは少し違う。親が決める相手なんぞに縛られる必要は無いと考えている」
綾迦の言葉は周囲にざわめきを与えたが、綾迦は意にも介さない体で言葉を続けた。
「何より、恋愛は大事ぞ。好きでも無い者と婚姻してもつまらぬ。それにまだ陰の一族達とも会っては居らぬ者も多い。小さい世界では無く、何でも広く見る事も大事だと思う。・・・・一応伝えおくが。この馬鹿王達が決めた婚約者候補ってのが決まってる者も居る」
綾迦の言葉に流迦は思わずたじろぎ、すぐ横の燦を見た。
燦はすぐに流迦の視線に気付くと、安心しろ、と流迦の頭を撫でる。
「だが、決めるのは自由だ。龍迦、蒼迦。そして流迦もな。私の子供には自由に決めさせる」
「俺もだ。緋冴、燦、烟」
綾迦の言葉に焔が同意を示し、頷いた。後方で焔の妻である灼鳴が嬉しそうに微笑む。
煌はやれやれ、と両手を掲げ、皇は溜め息を着く。
「ま、皆候補者が知りたいのなら申し出ろ。教える事はする」
綾迦は艶然と微笑むと、蒼迦が進み出た。
「母上・・・」
「・・・蒼迦、知りたいのか?」