流迦と燦の頬を柔らかな風が通り過ぎる。


ああ、きっと見られてるんだろうな・・・

燦はぼんやりと綾迦の顔を思い浮かべた。


燦の腕の中で流迦が小さく頷くのが見える。

その白い白磁の様な肌を桃色に染めながら、確かに流迦が頷いた。


ツ、と流迦の肩から首元へ指先を這わせると、流迦は身を捩って燦を見上げた。


くっそ、何でこんな可愛いんだろう。

上目使いに燦を見つめる潤んだ瞳や、薄く開いた紅い唇。

何もかもが愛しく感じる。


きつく抱いたら壊れてしまいそうなそんな訳が分からない恐れを抱きながら、燦はおずおずと流迦の両頬に両手を添えた。


「燦さま・・・・」


流迦が小さく呟きながら瞳を閉じる。


指先で少し流迦の唇に触れてるみると、それは余りにも柔らかった。

ドクン。

瞬時に燦の鼓動が跳ね上がる。


そっと流迦の額に口付けを落とすと、長い睫毛が微かに唇の上で蠢く。

そのまま頬にも、額にも優しく口付けを落とすと、流迦がそっと瞳を開いて微笑んだ。


「好きな人なんて、聞くな」

「だって」


またも拗ねた様な表情の流迦に軽く睨み付けると、躊躇いながら流迦の唇に口付けた。

流迦の瞳が一瞬見開き、そしてゆっくり閉じる。


「・・・・・ん」


小さく流迦がくぐもった声を唇の奥から出すと燦は離れがたい気持ちを抑えながら唇を離した。

初めての口付けを交わしあった2人は照れた様に見つめ合い、そして燦が優しく流迦の頭を撫でた。


「解るだろ?」


燦が問い掛けると、流迦が小さく首を振った。


「解りません」

「・・・・」

「解らない。燦さまなんて・・・」


そう言うと流迦は少し涙ぐみ、燦の首元に腕を絡めた。


くっつき過ぎッ!!!そう言いたくなる程、流迦は燦に密着すると、燦の耳元に唇を寄せた。


「私・・・咲良に嫉妬しました・・・」

「咲良さまに?」

「宵さまにも。嫌です。燦さまったらあんなに嬉しそうに・・・」


流迦は涙声になりながら必死に声を絞り出した。


ああ、そうか。

燦は言いようのない嬉しさを感じながら流迦の耳元で囁いた。


「好きだよ。俺は初めて会った時から、流迦だけだ」