燦の唇が優しく流迦の頬に触れた瞬間、流迦は反射的に瞳を閉じた。
ふ、と燦の息が流迦の頬の辺りにかかる。
「―ッ」
「ほら見ろ」
燦が流迦の鼻を軽く摘み上げ、溜め息交じりに言った。
「燦さまの意地悪・・・」
「何がだよ」
「・・・・」
燦の言葉に頬を膨らませながら流迦はそっぽを向く。
「だって・・・私はちゃんと・・・」
あの舞は燦さまの為にって伝えたのに・・・。
どうして解ってくれないの・・・。
「燦さま・・・・咲良の事どう思ってますか?」
「咲良さま?何だよ、突然」
「宵さまは?」
「宵さまって・・・あぁ、あの美人な・・・」
燦の言葉に流迦はほんの少し胸に棘が刺さるのを感じながら、流迦は瞳を伏せた。
「咲良さまは流迦のお友達だろ。優しい人だな」
「・・・はい」
「でも、やっぱり・・・」
燦は言葉を切ると、流迦の膨れたままの頬をつつきながら笑った。
「俺には流迦が一番だな」
思いがけない言葉に流迦が燦を見上げると、燦は照れた様に腕を伸ばして流迦を抱き締めた。
燦の首元に流迦が顔を埋める格好になり、流迦は胸が破裂しそうな程に高鳴るのを感じた。
「あの、舞だけどさ。どういう意味なのかな・・・」
「あれは・・・」
解らない。実際、燦の事を考えながら舞っただけだから、意味など無い。
流迦は困った表情になって行く。
「流迦。前に、さ。初めて出会った時だけど。その時もこんな風に流迦を抱いて」
燦の言葉に流迦が頷くと、燦は言葉を続けた。
「あの時、言った事、もう一度聞いても良いかな?」
「え・・・?」
何を聞かれただろう、流迦はその時の記憶を手繰り寄せて行く。
「口付けても、良い・・・?」
照れたように、でも優しく燦は流迦に問い掛けた。