流迦はそっと燦の胸に手を置くとそのまま頬を擦り付けた。
「教えて下さい」
「―いや、あの、だから・・・」
「・・・・・咲良には教えようとするのに・・・?」
いや、それは勘違いだろッ!燦は心の中で思わず突っ込みたくなる。
だいたい、咲良の時も言って無いし、そんな簡単に言う事じゃ無いだろ・・・・。
ああ、もう!
燦は流迦を抱き締めている腕を離すと、細いその肩を引き離した。
突然の事に驚きの表情を出す流迦を見つめながら、燦は流迦の腕を掴むと歩き出した。
「あ、あきら、さまっ」
勢い良く歩き出した燦に流迦は悲鳴に似た声を上げ、燦の背中を掴んだ。
「転びそうになる、から・・・」
流迦の言葉に燦は振り返ると、軽く身を屈め、流迦を横抱きに抱いた。
「きゃ・・」
「・・・これで転ばないだろ」
「・・・・あ、でも・・・」
燦の腕に簡単に抱かれ、思わず身を固くする。
重たく、無いかしら。流迦はそう考えると、燦を見上げた。
燦は相変わらずの表情で、流迦を見つめている。
「掴まれ」
燦の言葉に流迦は燦の首に腕を回すと、身体を密着させる。
「・・・流迦。だから、そう言う事を・・・」
「嫌」
嫌って。
どことなく腹立たしさを感じながら、燦はひらりと宮殿から飛び降りた。
眼下には美しい草原と、燦の火竜が見える。
足早に火竜に近付くと、火竜は傾げていた頭を上げ、一声嘶いた。
流迦をそっと火竜の背に乗せると、嬉しそうにまた火竜が嘶く。
流迦の手が優しく火竜の背を撫ぜると、火竜は首を横たえた。
柔らかい風がそっと燦と流迦の頬を撫で上げ、流迦は背中に感じる燦の胸に自分の頭を寄せた。
「流迦」
「・・・・はい」
「こっち」
燦の言葉に流迦が胸から頭を上げると、燦はまたも軽く流迦の身体を横抱きに抱いた。
「・・・知らないぞ」
「え、なに・・・」
「だから、前も言っただろ。思わせ振りな態度は止めろって」
厳しい燦の言葉に、流迦は俯き、唇を噛んだ。
そんな流迦の頬を燦の指先が撫で、厳しい口調とは正反対に優しく流迦の顔の輪郭をなぞって行く。
ピクリ、と流迦の身体が震えた。
「思わせ振り、なんかじゃ・・・」
無いわ、そう答えようと流迦が顔を上げると、燦の唇がそっと流迦の頬に触れた。