燦の胸に頬を擦り付けながら、流迦はふ、と息を着いた。

自分の心臓の鼓動が激しい。だけど同じ様に燦の胸の鼓動も早くなっているのを感じて何となく嬉しくなってしまう。


燦の体温は暖かくて、心地良い。


「・・・・燦さま」

「ん?」


小さく燦の名前を呼ぶとちゃんと返事が返ってくる事が嬉しくて、流迦は何度も燦の名前を呼んだ。


「何だよ、何回も」

「・・・・だって」

「泣き止んだのか?」


燦の言葉に流迦は小さく頷く。


「泣き虫」


燦は少し力を強め、流迦を抱き締めると、ゆっくりと力を緩めた。

不意に力強く抱き締められる事に嬉しさが込み上げて来る。


「もう、離しても良いかな、お姫さま」


おどけた様に燦が言うと、流迦は燦を見上げ、また首を振った。

・・・・離して欲しくない、なんて言っちゃ駄目。

そう考えながら流迦は自分から燦の背中に回した手を解き、燦に微笑む。

だけど、燦の手は流迦の背中から離れない。


「やっぱり、」

燦は溜め息を着きながら流迦を強く引き寄せると、腕の中に強く抱き締めた。


「もう少し、だけ」


燦の胸にすっぽり入ってしまった流迦は燦の表情が見えない。

トクトク、と燦の胸の鼓動が更に早くなって、流迦の頬を打つ。


燦に強く抱かれている、ただそれだけが嬉しい。

自分を燦が包んでいる、そう考えるだけで流迦は満ち足りた気持ちになる。


「あき、らさま」

「・・・・・うん」

「私、ちゃんと舞えてましたか?」

「だから・・・すっげぇ綺麗だったって言っただろ」

「・・・・・・燦さまを想って、舞ったの」


流迦の言葉に燦はほんの少し息を飲み込んだ。


「・・・・・後半、の舞・・・・あれは燦さまの為だけに舞ったの」

「うん・・・・」


後半部分の舞を思い出し、燦は流迦を抱き締める腕に思わず力を込めた。


「・・・・・さっき、咲良に聞かれていたでしょう」

「何を?」

「好きな人」


そんな最初の部分から聞いていたのか、と燦は思わず赤くなる。

もう流迦を抱き締めているだけでも赤いのに、これ以上赤くなったら客間に帰るのはいつの事になるのだろう。


「流迦にも教えて下さい」

「いや、あの、それはっ・・・」


流迦の言葉に燦はたじろいだ。

―ッ、言えるかッ!!!