「咲良、ごめんなさい・・・」
「良いのよ、流迦が謝る事なんかじゃ無いのよ」
抱き合いながらお互いをいたわり合う2人を見つめながら、燦は青藍に小声で話し掛けた。
「青藍、一体どうしたんだ?」
『・・・燦さまには関係無い事なのですが・・・まぁ、泣いてる女性の慰め方のご教授って事で・・・』
「青藍は何もしてくれなかっただろうがっ!」
『な、何を!見守っておったでは無いですか!』
「みまも・・・っておい!」
青藍を軽く指先で突き、燦は青藍との軽口に胸を撫で下ろしていた。
何が有ったかはもうどうでも良い。
何より咲良に笑顔が戻った事や思いがけず流迦が目の前に現れた事に、燦は嬉しさを隠せなかった。
「燦さま」
不意に咲良が流迦から身体を離し、燦に声を掛けた。
「私、客間に用事が有りますから、これで失礼致します」
「はぁ・・・」
やけにあっさり咲良が笑顔になっているのに少々拍子抜けしながら燦は答えた。
「流迦とゆっくりなさっててね。煩い方達が邪魔をしない様に客間で見張っておきますから」
「咲良!」
咲良の言葉に流迦は瞬時に頬を赤らめ、咲良の腕を掴んだ。
そんな流迦の腕を笑いながら離すと、咲良は燦に歩み寄り、小声で囁いた。
「先ほどのお話はまた後日。流迦に聞かれたく無いのです」
「・・・」
咲良の言葉に燦は小さく頷いた。
「さ、青藍。行きますよ」
『・・・え?』
「お邪魔鳥になりたいの?」
青藍に軽く咲良が指先を出すと、お邪魔鳥呼ばわりされた事に不服そうにその指先に青藍が留まる。
咲良は満足そうに微笑むと燦と流迦をその場に残し、客間へと向かった。
『お邪魔ですかね?』
「勿論。当たり前でしょう?流迦の恋の邪魔をしては行けないわ」
『咲良さま・・・お邪魔鳥は言い過ぎですよ・・・』
「まぁ。ごめんなさい。でも、青藍だって流迦と燦さまには幸せになって欲しいでしょう?」
咲良の嬉しそうな声に青藍は小さく頷いた。
「少しは進展すると良いのだけれど」
『・・・奥手、ですからね』
「・・・やっぱりこっそり盗み見しようかしら」
『燦さま、悶絶してそうですね』
青藍の言葉に咲良はやはり微笑みながら、客間へと続く廊下をただただ歩き続けて行った。