「・・・難しいですね。咲良さまとは今日初めてお会いしたところで、まだまだ解らないところが多いし・・・」
燦はゆっくり言葉を選ぶように話し出した。
咲良の思惑は解らないが、今は彼女を傷付けないように、ただそれだけを考えた。
参ったなぁ・・・。
正直、燦はほとほと困り果てていた。
咲良は流迦の友達だし、何より蒼迦と何か有った訳で。
「見たままで良いの」
「印象はすぐ変わるものだと思いますよ」
燦の差し障りの無い話に焦れた様に咲良は燦の腕に自分の手を置き、身を寄せた。
「私、自信が、無いのです・・・」
「自信?」
燦の言葉に咲良は頷き、燦を下から見上げた。
その瞳はまたも涙がうっすらと浮かび、美しい瞳を縁取る長い睫毛から今にも零れ落ちそうだった。
『咲良さまは美しいし、とってもお優しいんです!そんな、自信が無いなんて・・・』
燦の肩に留まり押し黙っていた青藍が、耐え切れない様に声を出した。
「青藍・・・」
その青藍の言葉に咲良の瞳から遂に涙が零れ落ちた。
燦の腕に置かれている手から、咲良の身体が震えている震動が伝わって来る。
はらはら流れ落ちる涙が頬を伝い、咲良の足元に落ちて行く。
『咲良さま・・・元気出して下さい・・・』
小さく青藍が呟き、俯いた。
青藍自身も言葉を考えあぐねているようだ。
「俺、まだ良く解りませんけど・・・咲良さまは優しいし、本当に美しいと思います。それに、あの歌、本当に素晴らしかった。初めて歌を美しいと思いました」
「燦さま・・・」
「それに、今日だってさりげなく俺の事気にして話し掛けたりしてくれました。咲良さまは温かい方です。どうかそんなに泣かないで下さい」
燦が必死になって言葉を選びながら話し終え、待ってましたとばかりに青藍が口を出した。
『そうです、咲良さま!元気出して下さい』
おいおい・・・。
燦はまたも青藍を軽く睨むが、当の霊鳥はどこ吹く風だ。
「ありがとう、燦さま・・・青藍。少し落ち着きましたわ」
咲良は燦の腕から手を離すと、そっと涙を拭う。
「燦さまにだから言いますけど・・・私・・・」
咲良はそう言い掛けると、ふと動きを止めた。
・・・さっき龍迦さまの時も有ったぞ、こんな感じ。
燦は恐る恐る後ろを振り返る。だが、誰も居ない。
ホッと咲良の方に向き直ると咲良が小さく微笑んだ。
「流迦。出てらっしゃい」
咲良が優しく言うと、ふわりと風が動いて空からふわりと流迦が降り立った。
上ッ?!思わず燦が空から地上までを何度も見返す。
咲良に言われて出てきた流迦は頬を赤らめながら燦と咲良に向き合った。
「聞くつもりじゃ無かったの・・・だけど・・・」
「心配してくれたのね、流迦・・・」
咲良は流迦に抱き付くと、その滑らか(そうな)頬をお互いに合わせた。
「咲良・・・」
流迦はギュッと咲良に抱き付き、しばし2人は燦の存在を忘れたかのように抱き合い続けた。