す、好きって・・・。
燦は困った顔で首を傾げた。
「ごめんなさい。良いの、気になさらないで」
咲良は困った顔の燦に微笑んだ。
「ちょっと聞いてみたかっただけなの」
って事は・・・。恋の悩み、って事だろうか?
燦は肩の青藍に視線を送ると青藍は我関せずとばかりにそっぽを向いた。
・・・おい。
青藍の態度に思わず人差し指で軽く青藍の頭を弾く。
「本当に気になさらないで。少し、どうかしてるの。何て言うか・・・」
咲良がまたも声を詰まらせたので、燦は焦りながら言葉を探した。
さっきも萌を宥めた所だ。しかも萌は幼いから良かったものの、咲良に泣かれては本当にどうしたら良いのか解らない。
緋冴に来て貰ったら良かった・・・。
「姫、良かったら、火竜で出掛けませんか?気分転換になるでしょう?」
先程咲良が乗りたい、と言っていたのを思い出し、燦は咲良に笑いながら言った。
「火竜・・・」
「ええ。如何ですか?」
「・・・・・・」
しかし咲良は首を振ると、ほんの少しだけ、悲しそうに言葉を出した。
「ごめんなさい、燦さま・・・私が言い出した事ですけど、だけど・・・」
「い、いえ、そんな気分が乗らないなら仕方有りませんから」
燦は咲良の悲しそうな表情に笑みを零した。燦の肩には青藍が神妙に押し黙っている。
「本当は。行けたら良いのですけど」
咲良のやけに区切った物言いを不審に思いながらも、咲良と青藍の微妙な雰囲気が燦を黙らせた。
何何だ、一体。
きっと咲良と青藍の間にしか解らない・・・もしくは龍迦と広間を離れてからの事なのだろうが、燦は事態の収拾がつかぬまま、困惑の表情を浮かべた。
しかし、緋冴に命じられた今、簡単に事を終わらせるわけにも行かない。
さて、どうしたものか。
青藍はやけに神妙だし、咲良はやけによそよそしい。
・・・・これって、俺が原因、では無いよな・・・。
話が見えないままで、つい考えが悪い方向に行ってしまう。
いやいや、そんなハズは無い。
青藍は「蒼迦さま」と」はっきり明言していた。
しかし、蒼迦は燦の最も苦手な人物だ。龍迦は先程までの会話で燦自身がほんの少しだけでも打ち解けられたので、まだ話も繋がるが・・・・蒼迦となるとなかなかうまくは答えられないだろう。
燦は頭を抱えたくなる衝動を抑えた。
どうしたら良いのか、全く良い考えが浮かばない。
燦は困り果て、咲良の愁いを帯びた表情を見た。
美しい顔がほんの少し歪んで見えるのは、涙を堪えているからなのだろうか。
瞳がゆらゆらと揺れ、思わず見惚れそうになる。
「燦さまは・・・・私の事どう思われます?」
「はっ?!」
『ふぇっ!?』
咲良の突拍子の無い質問に燦と青藍は素っ頓狂な声を上げた。
「いえ、あの、・・・違いますわ、そう言う意味では無くて・・・」
咲良は瞬時に頬を赤らめ、やんわりと言葉を正した。
「女として・・・と、言うか個として・・・どう思われます?」
咲良が何を言わんとしているのか・・・燦は咲良の思惑が解らず、ただ息を飲み込んだ。