流迦と燦は火竜の背に乗りながらお互いに押し黙ったままだった。


少し前に行く燦の姉、緋冴のお陰で事なきを得たものの、気持ちは暗いまま、揺られている。




燦さまに我が儘言って、こんな事になった自分を責め続けるしか無い流迦はおずおずと燦を振り返る。




「燦さま、本当に申し訳有りません・・・」




謝る自分の声が涙ぐむのを抑えることも出来ず、小さく呟く。




「流迦のせいじゃない。俺の考えが甘かったんだ。気にするな、な?」




思いの外燦の声は優しく、流迦はまだ涙ぐんでしまう。




「泣くな、流迦」




涙ぐむ流迦に慌てながら燦は優しく流迦に話し掛ける。




いけない・・・。さっき女は泣いてばかりだと言われたばかりなのに・・・。水の王子、鴻の胸を抉る言葉を思い出し、流迦はそっと、袖で涙を拭った。




「先程・・・言われたばかりなのに、私っていけませんね」




ああ、と燦は声を出すと、流迦の頭を撫でた。


「俺は・・・・」


と、そこで言葉を切ると、流迦を見つめた。




「何ですか、燦さま」




燦の切った言葉が気になる。俺は・・・何?


訝るような流迦の瞳が涙に濡れ、お互いに見つめ合ったまましばらく黙っていると、燦がほんの少し頬を紅潮させ横を向いた。




「俺は、流迦が泣いてばかりなんて思わないし・・・流迦は泣いても・・・・その・・・」




「え?」




「泣いても、いや、そりゃ笑ってるのも・・・」




「燦さま・・・?」

言い掛けては何度も止める燦に流迦はまたも瞳を潤ませ、その姿に燦は意を決した様に言葉を出した。




「泣いてても、流迦は綺麗だから大丈夫だ」




燦の言葉に思わず流迦は瞳を大きく見開いた。そして頬が見る見る内に赤くなって行く。


燦はそっぽを向いたまま、流迦の恥じらう姿を瞳の端で見守っていた。




可愛いな、ちくしょう。




心の中で燦は呟きながら、流迦の恥じらいが可愛らしくて仕方がない。




「燦さま・・・わ、私・・・ありがとうございます・・・」




胸の上で両手を交差させ、恥じらいながら流迦はやっとの思いで燦に告げた。


胸の高鳴りが燦に伝わっているのでは無いか、と気が気で無い。




「わ、笑ってる方が良いけどな」


「…はい…」




燦の言葉に流迦は微笑み、燦もそれに応えるかの様に微笑んだ。




やれやれ…前を行く緋冴は聞きたく無くても聞こえてくる後ろの火竜からの弟達の会話を苦笑いながら聞き入り、また微笑ましく感じながら火竜を風宮へ向けた。