本来、風の一族は他の王族達とは全く異なった生活を送っていた。


本来の風の気質…気まぐれさがそうさせるのかもしれない。宮殿も据えず、ただただ気ままに住まいを変え、暮らしてきた。自由に空を飛び、風に乗り…。



気ままに恋をし、子を為した。


だが他の王族が激しい風の気質をその身に受け継ぐのは容易くは無い。


身体が弱ければ、すぐに命の灯が消えてしまう―


「青藍、さてどうするか」
『風矢さま…』

龍迦を下がらせた後、綾迦は慇懃に霊鳥に話掛けた。

霊鳥、青藍は項垂れた。

『流迦さまはお強い』

「それはそうだ。私の娘だからな。封印が多少して有るとは言え…」

龍迦や蒼迦よりも強い。
ぼそりと呟く。

「陰の一族はやはり流迦かの?」

『華祭にはこぞって来られるでしょうね』

ふん…軽く鼻を鳴らすと、どっかり玉座に掛ける。

「まあ、私が見向きもしなかったのだからな、仕方有るまい」

『だいたい風矢さまがいけないのですっっ。華祭に流迦さまが舞われれば、間違いなく風矢さまが舞われた時の二の舞ですっっ』

キンキンとつんざく声で青藍が捲し立てた。

「仕方あるまい…?」

両手で耳を塞ぐ振りをすると、顔をしかめた。


風の一族直系で姫が産まれる事は少ない。風の血が濃いほど、身体が強くなければ産まれる事は無いからだ。だから自然と王子が多くなる。


姫が出れば、それはこぞって求婚の的になる。



『だいたい風矢さまが、気ままに決めるから陰の一族の不興を買ったのでは無いですか…』


「知らぬわ」


と、軽く肩を竦めると、

「…流迦には…」

幸せになって貰わねば困る。綾迦は口には出さずに念じる。

もし、それが陰の一族で有ろうと。


『陰の一族に嫁ぐなど…どうなる事か…』

「その時は母として命を賭けて守るさ」


どっちからなのだ?霊鳥は深く項垂れた。

流迦の華祭は近い。陰陽、それぞれこれぞ、と思う王子を流迦に会わせるだろうよ、と綾迦は誰にともなく呟いた。