瞬間。


ドゴォっと凄まじい音が頭上から聞こえた。一瞬車の中に居る全員の時が止まった。見上げると、天井が崩れ、へこんだ突起を作っていた。


「何だ?」
「止めろ!!」

運転席の男が急ブレーキを掛け、助手席と私の足の間に入っていた男が外に出た。

右横に居た男が私の口を押さえ付け、私はまた逃げる機会を失ったのを感じながらドアを開けた暗闇を見つめた。


涙は相変わらず止まらないまま、私は呆然と天井と暗闇の中に浮かび上がる白いパーカーを交互に見つめた。



「何だ…何か落ちたのか…?」
訝しげに運転席の男が呟いた。


「ぎゃっ」
「ぐげっ」

暗闇の中の白いパーカーがゆっくりと崩れ落ちた。


「な、何だっ?」
口を押さえ付けている男がどもりながら口走った。

7人乗りの後ろのリアシートに座っていた男達と運転席の男がまた外に出ていく。


な、何が起こっているの…?


「がっ」
ドカッ、バキッ、ゴッと鈍い音がして、外に出ていった白いパーカー達の立っている姿はもう車からは確認出来なかった。


私の口を押さえ付けている男が、
「おい、マサ!!カズ!!ヒロ!!ユキノリ!!」
と、外に居るであろう友人を呼んでいた。


心なしか言葉尻が上ずっている。そして、私を押さえ付けている手も少し緩まって、震えていた。


-今、今しか…無い。


私は呼吸を整え、カバンを手探りで探し、手に掴んだ。ふぅっと息を吐き出し、思い切りカバンを後ろの男にぶつけた。

反動と共に男にぶつかったカバンを持ち直し、緩んだ手に思い切り噛みついた。そして、破れた制服を右手で隠しながら、急いで車を出た。


「ま、待てっ」

ちら、と後ろを見ると、鼻をしこたま打ち付けたのか、血が手の隙間から見えた。手をこちらに伸ばしている。


「このガキッ!!」
「イヤッ!!」

捕まりそうになる私の横からもう1つ手が伸びた。
「おい」

その手の持ち主は鈴の様な声で会話に入って来た。