学校に着くと少しだけ安心した。

他愛も無いクラスメイトとの会話も、授業も私の心を和ましてくれる。

「ルカ!!おはよう!!」
「あぁ、桜。おはよ」

ふわふわの髪を弾ませて、桜が私に声を掛けた。
桜は学年の中でもダントツのアイドル顔だ。
全身ピンクな感じがする。
「…また何か有った?」
「無いよ。」

桜はピンクなイメージとは掛け離れて勘が鋭い。
あっさり話を切り捨てた私に顔を近づけて額を指差した。
「眉間にシワ。」
その真面目な顔に思わず吹き出してしまう。桜は優しい。すぐ私を和ましてくれる。

「おー、ルカぁ。」
「満那。」
桜のお陰で笑顔になった私に満那も笑顔で近づいて来た。満那はメガネの似合う優等生だ。セミロングの髪をいつもアップにしてる。満那も桜に負けず劣らず人気が有るんだろう。
桜と満那…。私の過去を知っているのも人生の中でパパとママを除いたら彼女達だけだ。


私が暗い空気を察知してくれたんだろう、桜も満那も放課後遊びに行こうと誘ってくれた。


*

3人で街をぶらぶらして、買い物したり、カフェでお茶をしてたら思いの外遅くなってしまっていた。

しまった。今日パパに言われた所だったのに。早く帰らないとママにまた嫌み言われちゃうよ…


私は焦って桜と満那に帰る事を告げ、2人と別れると急ぎ足で家に向かった。


桜と満那の「また明日ね、ルカ」の言葉が嬉しくて、明日は早めに学校に行って、桜と満那といっぱい話しよう…何て考えていた。


「あっれー」
「どこ行くの?」
若い男の声が聞こえて顔を上げると、白いパーカーをすっぽり被ったサングラスの男達が目の前を塞いでいた。
ナンパ?この急いでる時に!!
無視して横を通り過ぎようとした時、男の1人が前を塞いだ。

「ねぇ、どこ行くの?」
「可愛いねー」
「遊ぼうよ」

ちら、と男達を見る。サングラスを掛けているので表情は読めない。
「…急いでるんです。」
と口に出し、走り出した。

「ハハッ」
後ろで笑い声が上がる。
とてつもなく、怖い…急いで家に…この辺りは人気が無いし、でも頑張って走れば何とか大通りに出る。


「追いかけっこは得意だよ!!」
後ろで男達の矯声が上がった。
慌てて後ろを振り返ると、男達が数人追い掛けて来ていた。
嫌だ、嫌だ。怖いっ。


助けて、助けて。
私はひたすら後ろを見ない様に走った。