溝の口安全管理局22
ここはキラリデッキ地下にある溝の口安全管理局。
ポポ隊員(8歳)の1日が終わり本部の隊長に報告をします。
『こちら溝の口安全管理局ポポ隊員。本日の報告をしましゅ』
『どうぞ』
『子どもが赤い風船を持っていたのですが、手離してしまい、泣いていました』
『なるほど』
『隊長、空へ飛んでいった赤い風船はどこへ行くんでしゅか?』
『分からん』
その頃赤い風船は、雲の上にいました。
赤い風船は空なんて飛びたくありませんでした。
ずっと子ども達と遊んでいたかったのです。
赤い風船がたどり着いた雲は、受験雲。
たくさんの風船がいました。
みんな一生懸命勉強しています。
勉強をすればするほど、空高く飛んでいきます。
勉強しない風船達は、下界に落っこちていきます。
赤い風船は、下界に落っこちてもいいと思いました。
でも、他の風船達も頑張っているし、自分だけ落ちるわけにはいきませんでした。
そして、何より怖かったのは、落ちていく姿を他の風船に見られることでした。
赤い風船は勉強をして、ドンドン空高く飛んでいきました。
そして次にたどり着いたのは、大学雲。
ここではみんな遊んでいます。
赤い風船は大学雲で楽しみました。
でも、楽しめば楽しむほど、空高く飛んでいきます。
中には落っこちていく風船もいました。
赤い風船は、もうこれ以上高く飛びたくありませんでした。
でも、風船達の意志とは無関係に、どの風船もドンドン高く飛んでいきます。
きっとコレが正しいんだと、どの風船も思っていました。
風船達は、深く考えることは、やめることが空を飛んでいく掟だと、大学で教わりました。
赤い風船は、落っこちるのがとても怖くなりました。
落っこちるところを、他の風船に見られるのは、もっと怖がりました。
次にたどり着いた雲は、会社雲。
ここでは、風船達が満員列車に無理やり押し込められて、会社に運ばれていきます。
中には圧迫感に耐え切れなくなって、割れてしまう風船もたくさんいました。
会社ごと壊れて、会社もろとも下界に落っこちていく風船もたくさんいました。
風船というものは、とても壊れやすいことを、赤い風船は知りました。
そして、この雲の上では、さらに空を飛んでいくスピードは加速していきます。
赤い風船は、空なんて飛びたくありません。
下界を見たけれど、もうすっかり地面は見えなくなっていました。
帰る場所すら見えなくなった赤い風船は、それでも落っこちるところを、他の風船に見られるのが怖くて、必死で働きました。
働けば働くほど、空高く飛んでいきます。
もう、赤い風船は身も心もボロボロでした。
そんなある日、赤い風船はとうとうしわくちゃになり、しぼんでいきました。
そして、赤い風船は見る見るうちに、下界に落っこちていきます。
周りにもたくさんしわくちゃになって落っこちていく風船がたくさんいました。
赤い風船は安心しました。
そして、赤い風船は溝の口に落っこちました。
ある日、赤い風船の横を、赤い風船の持ち主だった子どもが元気良く駆け回りました。
子どもは、赤い風船に気づきません。
赤い風船は、子どもに踏まれ、さらにしわくちゃにしぼみました。
もう考えるのはよそう。
子どもの手には、新しい赤い風船が握られていました。
でも、赤い風船はもう何も怖くありませんでした。
‥それから一週間後。
『隊長、ポポ隊員、今日は溝の口のゴミ拾いをしました』
『「今日は」ではなく、毎日行え』
『ゴミを拾っていたら、ちっちゃくなった赤い風船が落っこちていました。結局、風船はどこにもいけなかったんでしゅね』
『そうかもしれないな』
『ポポ隊員、掃除したら身も心もピカピカな気分でしゅ。今日も溝の口はと~っても平和でした。おやしゅミゾノクチ』
♪おしまい♪
溝の口安全管理管理局11
ここはキラリデッキ地下にある溝の口安全管理局。
ポポ隊員の1日が終わり本部に報告をします。
『こちら溝の口安全管理局ポポ隊員。本日の報告をしましゅ』
『どうぞ』
『魚が道に落ちていました。焼いたら食べられました。食べたら食後の運動にお散歩しました。そしたらコンビニがたくさん食べ物を捨てていました』
『なるほど』
『今日も溝の口はと~っても平和でした。おやしゅみなさい』
溝の口安全管理局10
ここはキラリデッキ地下にある溝の口安全管理局。
ポポ隊員の1日が終わり本部に報告をします。
『こちら溝の口安全 管理局ポポ隊員。本日の報告をしましゅ』
『どうぞ』
『本日溝の口で10人が亡くなりました。でも8人産まれました。おめでたいのか、おめでたくないのかよくわかりましぇん』
『なるほど。自然の摂理だな』
『今日もポポ隊員頑張ったから、溝の口はと~っても平和でした。おやしゅみなさい』
