moonface

ダックスちゃんの顔ですが、お気づきになるでしょうか?
ジロッと伏し目がちの視線でこちらを見ていますが、
それは置いといて下さい(笑)。

産まれて2ヶ月程の幼犬ですが、ちょっとおかしいでしょ?
可愛いですけど、お顔、特に目の周囲と口の回りが腫れていますよね。

この容姿こそ・・・

アレルギー症状でみられる『ムーンフェイス』です。
実はこのワンちゃん、遠くの他動物病院でワクチン接種後にしばらくして顔が腫れてきたとのことで来院してきました。

ワクチン後には、二種類のアレルギーが起きる可能性があります。
接種直後から30分程の間に元気がなくなり、全身の力が抜けてしまう非常に危険な急性アナフィラキシーショックと、接種数時間してから遅れて顔などが腫れたり、嘔吐や下痢が続いたりするアレルギー症状です。『ムーンフェイス』は後者の遅れて起きるアレルギー症状の1つに含まれます。

ワクチンで来院されている飼い主さんは、私がいつもうるさく『スヌーピーやムーミン』のような顔になったら・・・・煩いほど口にしていますので、ご理解いただけることでしょうが、今回、その画像を得られたので掲載することにしました。

ムーンフェイスになった時には、まずはワクチンを打った動物病院に連絡して、できるだけ早く病院に連れて行って下さい。
もし、いつも通っている動物病院と連絡が取れない場合は、どこの病院でも良いですから連絡が着いた病院で『ワクチンを打ってから、○○時間後に顔が腫れた』としっかりと説明して下さいね。
原因が分かれば、治療対処も直ぐにできますので。

病院ではステロイド注射をされることでしょうが、その後、少しずつ顔の腫れが引いてくるはずです。しかしながら、ムーンフェイスだけでなく重症なアレルギーの副作用がでた場合は、さらなる治療が必要とされ、そのまま入院になることもあります。
今回のワンちゃんは元気で比較的に軽い副作用の症状なので、電話で経過を教えるように指示して帰宅させました。

そのような中で、一番重要なことは、副作用の症状に飼い主さんが気がつくか否かになります。
しかも、ムーンフェイスなどはワクチン接種後4~8時間程経過してから、その症状をよく起こしますので、できれば、ワクチン接種は午前中にした方が賢明です。
なぜならば、夕方や夜にワクチンをすると、副作用は深夜に出ることになり、ワクチンで犬、猫の調子が悪くなっても飼い主さんは既に寝ていて、気付かないまま翌朝になっていることがあります。非常に重い副作用が出た時には命にかかわることもありますので、ワクチンを接種しに来院される時間を十分考慮して欲しいところです。

また、副作用の話をしている時に皆様方は『去年もしているので大丈夫』とよく言われることがありますが、昨年したワクチンに対して、アレルギー抗体ができたとしたら、今回接種するワクチンが非常に危険なことになります。そのようなことより、毎年ワクチンを希望される飼い主様は、気を許すことなく十分注意して欲しいです。

最後に、前回ワクチンに対して副作用が出た時は、次回接種される時には忘れずに獣医師に伝えて下さい。同じ副作用が出る可能性がありますので、ワクチンを他社製品に変えたり、接種前にステロイド注射を行うことで副作用を回避させることができます。