角田光代『タラント』です。

 

私の好きさレベル5段階評価の『4』です。

 

 

 

 

 学校に行けなくなった甥、心にふたをした義足の祖父、”正義感”で過ちを犯したみのり。

 あきらめた人生のその先へ

 小さな手にも使命(タラント)は灯る慟哭の長編小説

 

 今、だれもがスターを待っている

 周囲の人々が”意義ある仕事”に邁進する中、心に深傷を負い、無気力な中年になったみのり。

 実家に届く不審な手紙、不登校になった甥の手で、祖父の過去がひもとかれるとき、みのりの心は、予想外の道へと走りはじめる

 

 

 

 

 

サクッと読める小説の3倍の”濃さ”と”文字数”でした。

これを読んだのが、3回目のワクチン接種で寝込んでた時。

弱ってるから余計に打たれましたね(TT)

何を成したか、成そうとしたか・・・を突き付けられます。

残念ながら半世紀オーバー息をしてますが、何も成してません(;'∀')

 

 

 

 

この作品で気に成った一節を

 

(設定)

ー写真家の友人が、お腹に爆弾を巻き付け、弾ける様な笑顔の少年の写真で有名な賞を受賞したー

 

「翔太の撮る写真って、『とくべつな子どもたち』って感じしない?あの、賞をとった写真も、すごく遠い世界の悲劇という感じがする。私は子ども兵にしぼって取材をしていたけど、子どもたちの話を聞けば聞くほど、とくべつな子たちって思えなくなるんだよね。もし私が家族も家も奪われて、そこにすごく親切な大人があらわれて、いっしょに戦おうって言われたら、きっと銃を持つ。とくべつなことじゃなくて、ごく自然にそうすると思った。でも翔太はそうは考えない。悪はひとつで正義もひとつ。戦争をする大人が悪い。子どもをあんな笑顔で死なせる戦争が悪い。そう言い切れるのは、それが遠い国で起きている、自分とは無関係のことだから。そんなふうに自分の正義を疑わないのはうらやましい」

 

 

もう一つ

 

「がんばらない人ってがんばったことがないから、がんばるってどういうことかわかんないの。だからがんばってる人がどんなふうにがんばってるのか、わかんないの。なんでがんばるかもわかんないの。わかんないから、いい結果出した人のこと、なんか奥の手を使ってズルしたみたいにしか、思えないの。そんなふうに言われたらやっぱり悔しいし、いやになっちゃうこともある。」

 

 

 

如何でしょうか?!

 

 

 

 

 

今作で本年読了60冊。

例年よりもペースが遅い(-_-;)

今年は250冊オーバー無理かも・・・