昨日は時計修理の試験でした。資格を取りたい。


もう時計修理の仕事を辞めてから数ヶ月が経とうとしています。

私はここでずっと働くと思ってた。


本当に良い職場でした。


職場はお店と修理工房(別の場所に)の2箇所があるのですが、私はお店の方で時計のバンドの接客、お客様からオーバーホールなどで預かっていた時計の出来上がりの受け渡し、オーバーホール希望のお客様の時計のお預かり、そして技術的なことだと、電池交換とバンド交換などをすることになりました。

修理工房の方には、経験者で、一級の資格を持った高いレベルの人が働いています。

修理工房はお店と連携していて、私たちが預かった時計の中で、お店では対応できないものや、さらに難しい修理や検査が必要なものが修理工房に送られるような仕組みになっています。


派遣で入った私はまず初めに店頭で簡単な電池交換とバンド交換をできるようになるために、お店に立つ前に、修理工房のトップの方から研修をしていただき、その後お店に派遣されました。


時計修理といっても、時計のベルトの販売もあったので、技術、接客の両方をこなさなければならないのですが、本当に忙しい職場だったので、技術の方は先輩に任せて接客に回らなければならないことが多く、せっかく研修で教えてもらった電池交換やバンド交換の技術を発揮する機会も少なく、技術をさらに磨きたくても時間が取れず、なんだか、もんもんとした日々をすごしていました。

あんなにたくさん研修してもらったのに。。私だって少しはできるのに。。だけど忙しい時は先輩にやってもらった方が早く仕上がるし効率いいから、結局なかなか思うように携われないことが、なんだか悔しいな。。と。

もちろん少し暇な時間に店長やベテランの方に技術を教わったり、実際お預かりした時計に携われたりするものの、少しの時間しか電池交換やバンド交換などに携われないから経験値のあがるスピードも遅く。。もっと勉強してスムーズにできるようになって早く現場に活かしたい。。と


ある日、店に時々、直接時計を受け取りに来てくださる研修時お世話になった修理工房のトップ(今の私の師匠)にそんな心境を相談したら、「仕事終わった後に少し教えましょうか?」と言ってくださり、それから私は数週間に一度、仕事が終わったら修理工房を訪ねて、トップ(この後文から師匠と書きます)の指導を受け、勉強させていただくことになりました。


もちろん師匠も仕事が終わってからの時間となるので、帰りは遅くなるし、師匠のご厚意でプライベートの時間を削って無償で教えてくれるわけですから、本当に感謝しかない。


どうして師匠は私にそこまでしてくれたのか。


それは私が派遣という立場でありながら、社員である誰よりも真剣で、知識と技術を身に付けたいというまっすぐな思いに心を打たれ、それに全力で応えたいと思ったから。ということでした。

人に教えてあげようと、ここまで動かされたのは初めてだと言ってくださいました。

そう言ってもらえてとても嬉しかった。


私は派遣。そこまでやらなくてもいい。

そこまでやる人はいない。

仕事終わってから研修に行ってお給料出るわけでもないし、お店と修理工房が離れた場所にあるから電車でわざわざ移動しなければいけないのに、なぜそこまで?。。

たしかにそう思う人もいるかもしれないですね。


それに会社や社長からしたら悔しいけど、やっぱり社員の方が可愛いし大切、そして育てたい。

そんなのまぁ当たり前なんだろうなぁ。。


だけど派遣であろうがバイトであろうが社員であろうが私の働き方は変わらない。私はどんな立場におかれていても私の取り組み方や、仕事への想い、真剣さは変わらないんです。

だから私からすると逆に、派遣の私なのにこんなに良くしてもらえて本当にありがたくて、感謝しかない日々でした。


時計修理のお店に立って3ヶ月目頃から

【店頭に立ってお客様の時計を取り扱うものとして、資格を取りましょう】というお店の方針で、先輩だけどまだ資格を持っていない人や派遣の私は資格を取るため、申し込みをすることになりました。

この資格取得のテスト費用は会社が負担してくれるということで、ますます頑張らなきゃいけないと、師匠もさらに力を入れて試験にむけて、教えてくださっていた。


それなのに。。


私は突然派遣を辞めました。

つまり時計修理の職場を去ったのです。


色々あって派遣を辞め、全く違うところに就職しました。

本当にごめんなさい。師匠。

胸が苦しかった。

1番に師匠に報告したときのこと。一生忘れない。


試験の申し込みを終えたあと試験を受ける前に辞めることになったので、試験の費用はもちろん会社から払ってもらえず、このまま試験の申し込みをキャンセルすることも可能でしたが、私はもちろんこのまま試験を受ける方を選びました。

私の中に試験を受けないという選択肢は存在しませんでした。

なぜなら、もちろんせっかくここまでやってきたのにもったいないという思いもありましたが、なにより、ここまで教えてくださった師匠へ、せめて師匠の一番弟子として最後までしっかりと向き合いたかったし、師匠に喜んでもらいたいと思ったから。

教えてよかったと、少しでも思ってもらいたかったから。


だから私は絶対に受からなければならない。

そう思ってここまできたんです。


今日は時計修理の試験でした。


派遣を辞めて就職してから約3ヶ月がたとうとしています。

時計を毎日触らなくなったから、試験でリスクは大きい。毎日何かしら時計に携わってる頃からするとかなり腕が鈍る。

それに正直、毎日今の新しい職場の業務に追われる中、時計のことを考える余裕がまったく持てず、刻一刻とせまってくる試験日。

だけど

絶対資格を取る!合格するんだ!

と思いながら、少しずつ勉強して、やっと今日を迎えることができました。

日曜は筆記試験。30日は実技でした。


筆記は受かってるけど実技はやばそうだなぁ。。

もし落ちてたら。。そんな不安はよぎるけど

そうなったらまた受ければいい。

まだまだ弟子は師匠から卒業できそうにありません。