「私の男」と「青春と変態」の感想話 | あかねっくすの頭の中がカユいんだ
今、会田誠の「青春と変態」を読み終わったので
ブログを書く。


先週末から
桜庭 一樹の「私の男」を読み
昨日から
それを読んでいたのだけど


この短時間で
はからずとも
自分の苦手な領域の話をふたつも読んでしまった。



たいていの下ネタは平気だけど
わたしは「近親相姦」と「スカトロ」が苦手だ。



「妹観察日記」を修学旅行にもってきた男子を見てから
それを自覚した。



自分にお兄ちゃんがいるせいかもしれないけど
ほんとに気持ち悪い。


想像したら
かなりブルーになる。


あと思春期に家族がごちゃごちゃしてたので
そういうのも関係あるのかも。



実際こんなんあったらこえーよって。



けどそのモロ近親相姦ものの
「私の男」、おもしろかった。




$あかねっくすの頭の中がカユいんだ



幼い時に震災で家族をなくした女の子を
若い男がひきとって
子育てにシクハクしながら暮らしていくという
「うさぎドロップ」みたいな話では全くなく
園子温が好きそうな
ドロドロした関係の話。


引き取った直後から(まだ9歳な)
ふたりは関係を持つし、
どっちが親なのかわからないような精神構造だし、
そのふたりの関係に気づいた
町の権力者のおじいさんを殺して
東京に逃げて
その先でおってきた人をまた殺して
アパートの部屋の押入れに隠したまま
くらしつづけたり

グロッグロッグロッって感じの話なんだけど



話が主人公の娘・花の結婚から過去にさかのぼっていく形式なので
心の準備ができていくというか
謎解きみたいな感じもあって
案外読めた。平気だった。



文字でストーリーをざっと説明すると
きもすぎる話なんだけど
これ共感まったくできないって人もいないんじゃないかな
という感じでもあった。


ただ未成年(しかも子ども。しかもようよう話よめばじつの娘。)に
手を出すとかき●がいやし
絶対やったらあかんことやし
まじ軽蔑するけど

完全に自分を認めてくれて
一緒にいてくれて裏切らない存在
(この話でいうとそれは親とか家族なんだろう)
をもってこなかった人は
突如そういうのを叶えてくれるひとが現れたら
その承認欲求を、その人にぶつけてしまうんだろうな。


この話だったら、それがお互いで
そのぶつけ方が性行為にいたってしまったわけで
それがすごいきもいんだけど。


そんなきもいお父さん・淳吾(漢字間違ってるかも)が
どう考えても「女が好きな」男でいい感じで
実際いたら好きだわー
って感じなんだけど

だけども彼の舌の描写はきもすぎた。

今手元にないしはっきり覚えてないけど
「色の悪い長い舌」みたいな。



うううう。

うううう。




最初に結論がでてるから
「もうどうにかなれよ!」とかも思えなくて
ただただ堕ちていってるさまを見守るしかできない話だったんだけど
気持ち悪くなりながらも共感もできて一気に読めた。


けど、「わかる」とは言いたくないんだよね。

理解は出来るし、そういう心情も想像できるけど
だめだよね。どう考えても。


自分の心の弱い部分てかいたんだ部分を
そういう行為を血縁者とすることで埋めようとしてはいかん。


その弱さを認めたくはない。



ダメ。ゼッタイ。


いろいろ思うことはあるけど
そこにしかいきつかない。



二階堂ふみと浅野忠信で実写化するようだけど
それはすごく賛成。


これ以上のはまり役ない。笑


ぜったいてっちゃんと見に行きたい。笑




ふんでそんなちょっとヘビーな話を読んだ次の日は
軽そうな「青春と変態」を読んだんだけど

こっちもヘビーだった。笑



$あかねっくすの頭の中がカユいんだ



わたしは「青春デンデケデケデケ」とか「ペニーレイン」とか「1985年の奇跡」とか
そういう青春くさい話が好きなんだけど
この話もすごく青春くさかったんだけど


主人公の会田くんがダメ。

むり。きもい。



会田くんは
見た目は地味で
友達も少なく
スキー以外のスポーツはまったくできなく
かなり冴えない男の子。


見た目の地味さから、信頼のおけるやつだと勝手に勘違いされやすく
それゆえ、たいして話もしたことないクラスの女(ただしブス)から
「会田くん死にたいと考えたことある?」
とか突如話しかけられたりするんだけど

彼自身はそういう悩みとは無縁な
見た目だけ地味でシリアスで
内面はミーハーでお気楽なやつなの。


この小説は
高校のスキー部に所属する会田くんが
他校の女子高のスキー部といっしょに
合宿でスキー場にいってる最中の
日記(手記?)なんだけど

彼のその合宿での目的は
「覗き」。


タイトルの通り
会田くんは根っからの変態で
「トイレ覗き」に情熱を傾けているんだけど


そのさま、その描写がきもい。


トイレにはいつくばって
個室にはいって
どんな位置から観察するか
そして、
どんな風に排泄されるか
どんな風にそのさまが見えるか

会田くん目線で描写してるんだけど

きも!
きも!
きも!



会田くん、きも!!!



しかも会田くん、
それで性的な興奮は感じてないのね!


「ふだんみれないものを見ている」という興奮はあるんだけど
なんか観察者なのよ!



自分の父親が新聞記者のせいで
自分は「精神的にも恋愛的にもイ●ポ」だとか
言ってるんだけど
本当にこんな変態がいるのかってくらい変態!



彼のその変態さは
その「トイレ覗き」行為だけには
とどまらず
あらゆる友人たちの行為を覗きまくる。


いい感じになってるカップルとか
スキー部で一番いい男の藤田の浴場での様子とか。


最後には
自分が好きだった女の子・湯川さんが
他の男と愛を交わすシーンまで覗くからね。



この湯川さんの存在で
この小説の「青春」は成り立っていると思うんだけど
(湯川さんがいなくても
青春感はあるけど、濃さが違うよね)


湯川さんから他の男が好きだと告白されて
そっから会田くんが見事なまでのキューピットになる様が
異常なまでにさっぱりしていて
やっぱり変態的。


彼女の告白をきいて

「それじゃあ、ふらりをくっつけて!
それを覗こう!」
という行動に会田くんはすぐさま出るんだけど


「精神的にも恋愛にイ●ポなんじゃないか」
と彼は考えるのね。



胃だけは失恋の痛みを味わって、キリキリ痛むんだけど。



最後のオチもすさまじく変態的でびっくりしたんだけど


本当にとんでもないものを読んでしまった。


二作続けてなんてこった。



星の王子さま読まなきゃ。笑