振付: ジャン=クリストフ・マイヨー
音楽: セルゲイ・プロコフィエフ
装置: エルネスト・ピニョン=エルネスト
衣裳: ジェローム・カプラン
照明: ドミニク・ドゥリヨ
仙女:小池ミモザ
父:クリス・ローラント
シンデレラ:ノエラニ・パンタスティコ
王子:アシエ・ウリアゼレカ
継母:カロリン・ローズ
義理の姉たち:モード・サボラン、アンヌ=ラウラ・セイラン
儀典長たち:アシエ・エデソ、ラファエル・ボシャール
4人の友だち:
ピョートル・ツォボヴィッチ、ブルーノ・ロケ、
ラモン・ゴメス・レイス、エディス・アルゴチ
4人のマネキン:
ジョヴァンニ・モンジェリ、ジェローン・ヴェルブルジャン、
ダニエレ・デルヴェッキオ、サブリ・ガレム=シェリフ
異国の人たち:
カタジェナ・クチャルスカ、カルメン・アンドレス、
シモーヌ・ウェブスター、レネケ・ヴォス
舞踏会:モンテカルロ・バレエ団
大好きな振り付け家のひとり、マイヨー率いる「モンテカルロバレエ団・シンデレラ マイヨー版」を観てきました。
この日は、3.11震災から一年ということで、モンテカルロバレエ団所属する日本人ダンサー、小池ミモザさんによる追悼特別セレモニーダンス「la vie」が上演され、マイヨー、モナコ公国アルベール二世からのメッセージ、地震発生時刻の14時46分に会場全員で黙祷がありました。
あの震災を経験してからというもの、自分自身の中でやはり様々なトラウマや喪失感、葛藤、価値観の変化など、様々な複雑な思いがあるということが、追悼のメッセージやダンスを観ていて改めて感じました。
マイヨーからのメッセージで「création=創造」「vie=生きる」「d'espoir=希望!」と聞こえてきた時に、思わずボロボロと泣いてしまいました。
Cendrillon, symbole de création, donc de vie et donc d'espoir !
=シンデレラは「創造」の象徴、すなわち「生きる希望」の物語です。(それを今日上演できることを誇りに思います、、と続きました)
----ここから感想です----
音楽はシンデレラの音楽を使っていますが、振り付けはマイヨーそのもの。
コンテンポラリーです。
また、マイヨーは舞台美術や衣装も現代的で、以前観た「la belle(眠りの森の美女)」も衣装がカール・ラガーフェルド と素晴らしかったのですが、今回はジェローム・カプランによるものでした。
クラシックな衣装ではなく、継母や義姉達は、コルセットの様な衣装、仙女のチュチュも針金を通したようなもので、とても斬新かつ美しいものでした。
シンデレラは終止裸足なのですが、ラメを足に纏わせることによりガラスのシューズを表現したり、コンテンポラリーと演出がとてもよく組み合わさっていて、観ていて非常に楽しい舞台。
途中に出てくる劇中劇はコミカルで、それによりシンデレラは自分が現在おかれている不幸な状況、そしてそこから未来への希望を見いだすのですが、その部分をシリアスではなく、コミカルにしている所が、物語前半の悲壮感あふれる感じをうまく中和しているように思えました。
仙女(=亡くなったシンデレラの母)役は、今回は小池ミモザさん。
少し違和感?があったのは、亡くなる前の回想シーンで出てくる母親は、エレガントで、クラシカルなムーヴメントなのに対し、仙女になってからの母は、ムーヴメントがいわゆる”マイヨー節”。
言葉でうまく表現できないのですが、仁王立ちで腰から上を少し曲げて上半身を突き出し、両手も挙げる...
その動きは継母た達もやるのですが、なんというかすごく気が強そうで、主張が激しい、意地悪そうな動きに見えてしまいます。
優しいエレガントな母が、仙女となって娘を導くという目的から、強い感じになるのかなぁ、と思いますが、なんとなく私的には、優しく導く天使のような母親像の方がよいなぁ、と思いました。
ミモザさんも素敵でしたが、ベルニスの大ファンなので、ベルニスの仙女も観てみたかった!
衣装、演出、緩急ある振り付けや展開、いつまでも観ていたい、そんな舞台でした。