ANA LAGUNA & MIKHAIL BARYSHNIKOV
dansent
« THREE SOLOS AND A DUET »
Chorégraphies de Mats Ek, Benjamin Millepied et Alexeï Ratmansky
バリシニコフといえば、現代バレエ界に多大なる影響を及ぼした人物であり、スーパースターということは理解しているものの、彼が全盛期だった80年代は私はまだ子供だったため、映像でしか彼のダンスを観たことがありません。
もちろん映像だけでも、初めて観た時のインパクトは忘れられず、今もなお様々なダンサーが彼に憧れているのがよくわかります。
私はバリシニコフがABTで踊ったドンキが大好き!
圧倒的な身体能力とコミカルな表現力。パーフェクトです。
そのバリシニコフがパリに来る!ということでLE THEATRE DU CHATELETに行ってきました。
彼はいまでも王子のままでした。
身体能力の衰えを違う表現でカバーしたり、コミカルでおしゃれな表現で魅せてくれたり。
Benjamin Millepiedの振付け作品では、彼自身の若い頃の映像をバックに映しながら現在のバリシニコフが踊ったり、過去と現在との違いを感じさせたり。
とは言え自虐的なわけではなく、今はまた違った表現力で魅せてくれたバリシニコフでした。
こういう作品をチョイスするという所に彼の自信がうかがえます。
私は舞台を観に行くまで知らなかったのですが、相手役のANA LAGUNA、彼女が素晴らしかったです。
現役時代を知らないのですが、バリシニコフの相手役の方ですから、きっと同じ時代に活躍されたトップダンサーでしょう。
彼女は身体もオバサン体型になってしまっていますが、それなのにまだまだしなやかで、
逆にそれが生々しく、表現力においてプラスになっていると思いました。
クラシックではなくコンテンポラリーだからこそ、人間の正直な部分(体型の崩れとか身体能力の衰えなど)をさらけだし、表現として、彼女だからこそできるものになっていました。
彼女の踊りから彼女の今までの人生が透けて見えるようでした。
そして若い時からの着実な技術があるからこそ、それが下品にならず、観客を魅了します。
こういうコンテンポラリーもあるんだなぁ、人は何歳になっても、身体が動くかぎり表現力においてどんどん深みを極めることはできるのだな、と感動しました。
あとは、ただただ生のバリシニコフを観れたということだけで感無量でした。
観客の皆さんもそんな感じだったらしく、終わった後は全員がスタンディングオベーションで、
彼の功績を讃えているようでもありました。
あのバリシニコフが今もダンサーとして舞台に立ち、私たちの目の前にいることが何よりも観客を感動させたのではないでしょうか。
とても素晴らしい舞台でした。
終演後のルベランスで。
達成感とともに深く観客におじぎをするふたり。
本当に素敵でした。
下記英語ですが、レヴューと映像を見つけました。
http://www.tonyaplank.com/swan_lake_samba_girl/2009/08/31/baryshnikov-and-ana-laguna-on-tour/