先日、大阪の滞在先のホテルでの事です。同僚達と、京都まで日帰りの小旅行をする事になり、スーツケースの中のワンピースを広げてみると、しわくちゃでした。あまりアイロン掛けは得意では有りませんが、いくら私でも京都でこれを着る度胸は無く、軽くアイロンを当ててみる事に決めました。部屋にアイロンはあったのですが、アイロン台が有りませんでした。ホテルのフロントにアイロン台が必要な事を伝えると、電話の向こうの女性スタッフは、「ご迷惑をお掛けして大変申し訳御座いません。大至急、お部屋までお持ち致します。」と、本心でおっしゃっているかの様な、とても丁寧な対応でした。同情までして頂いているかの様な、優しい声質。電話の向こうで頭を下げて頂いているのが目に見える感じで、こちらの方が何だか申し訳なくなって来ました。

カスタマーサービスは、こうで無いと駄目なんだな、と勉強になりました。と言いますのが、先日のフライト中、あるお客様に呼び止められました。テレビのスクリーンがフリーズし再起動も不可なので、他の乗務員にお詫びとして免税品のクーポンを$15分もらったけれど、欲しいものが無い、と。ホノルルから日本へ帰る便でしたので、お土産に最適な$15以下のチョコレートを勧めてみましたが、そんな物は要らないと。そして、こんなクーポンを貰っても、意味が無いから捨てます、と。恐らく、その乗務員の態度に誠意がこもって無く、それに対してのご立腹だったのでしょうね。それを察し、深くお詫びを申し上げ、ビジネスクラスにしか提供しない日本語の新聞を数部、そして小さなライト(食後の機内は灯りを落とします)を、そのお客様までお持ちしました。そうすると、クーポンの使い方について、色々な質問をなさったので、少しはご気分が和らいだのかな、と思いました。休憩後、免税品の売り上げ袋を覗いてみると、その方のクーポンが入っていました。何か、お買い上げになったようです。算数の様に、1+1=2 では無いんですね。どうやってその2まで達するのか、その過程が大事なんだと思います。

さてさて、アイロン台に戻ります。同僚との待ち合わせ時間まで、15分しかありませんでしたので、アイロン台が間に合わなくても仕方が無いな、このワンピースもそこまで悪くないよね、とアイロン台に対する期待感は半分。すると早速, 5分後に届きました。またまたご丁寧に謝って頂き、私としては時間が無いので早くドアを閉めてアイロン掛けを開始させて欲しかった位、何度も頭を下げられました。そして、さあアイロンを掛けようと思うと、アイロン台の脚が壊れていて開かない。使えなくは無いので、床に座ってアイロンを掛けました。でも、もし始めに冷たい対応をされていたら、電話を掛け直して、文句の一つや二つは言っていたでしょうね。
本日のフライトは、これと言ったハプニングも無く、万事うまく行った様に感じます。

朝のミーティングにて、前回のフライトでご一緒させて頂いた(厳しそうな)先輩を見かけた時は、ドキっと致しましたが、今回は仕事中にかなり接点があり、話をしてみると、結構普通の人でした。新人に対して、偏見を持つ先輩が居ますが、一人一人、私のチャームで(!!)、いえいえ、仕事に対する熱心な姿勢で、"思っていた程ひどくないかも…"と感じてもらえると嬉しいですね。
飛行中に、酔い止めをくれ、とおっしゃったお客様が二名いらっしゃいました。今回、初めて聞かれたのですが、あいにく機内にはご用意致しておりません。私は個人的に、気分の悪い時は炭酸飲料(スプライトやジンジャーエールなど)を飲むと、楽になる事が多いので、勧めてみました。少し楽になったとおっしゃてました。疑問に思った事は、もう飛行機酔いをされてから、酔い止めを飲まれても、効かないんじゃないでしょうか、という事。
本日のエコノミークラスの満席率は65%程でした。空席が多いため、枕も毛布も多数余っておりましたが、なぜか、2枚目の毛布のご注文は皆無でした。満席で予備の毛布が無い時には、250回くらい、"毛布"という単語が機内を飛び交っておりますが…。そう言えば、本日、イヤフォンの故障も一件しか御座いませんでした。満席の時は、イヤフォンの半数が故障しているんじゃないか、というくらい、取り替えます。そして本日、テレビモニターの再起動を、一度もする必要が御座いませんでした。また、お客様の人数が少ないにも関わらず、免税品の売り上げはいつもより高かったです。不思議なフライトでした。
空間に余裕が有ると、良いですね、心にも余裕が出来ます。まず、隣の乗客の肘が当たらない事から始まり、ゆっくりとおくつろぎ頂けますし、私達、サービスする側にとっては、時間に余裕が出来ます。そうすると、お客様もサービスを受けやすくなられる様で、本日は、大勢の方が、"ありがとう。"とおっしゃいました。普段は、"どうも。"とか、会釈だけだったり。何も無い時も…。
経営者側は、満席が望みでしょうが、これからあと何百年もの成功を持続しようとするのなら、常に満席率を85%くらいで止めて置く、と言うのも悪いアイデアでは無いかも知れませんね。しかしこれは、どんな数学の方程式にも当てはまらないと思うので、耳を傾けては貰えないでしょう。
…な~んて思いながら会社のメールボックスを開いてみると、会社から電子アンケートが届いておりました。会社の将来について、色々な質問がありました。えー、何このタイミングは?思いっきり、よく壊れるイヤフォンと、数の足らない毛布について、文句を言わせて頂きました。しかし、この85の方程式はもう少しの間、私の中で温めておきます。
今月の帰宅は5泊6日という短いものでした。真夜中のフライトで帰って来ますので、初日は一日中昼寝をして終わってしまいます。もう少し時間を有効に使うのが、今後の課題でございます。

久し振りに会う娘はとても甘えますので、朝ご飯を一緒に食べるのに一時間はかかるでしょうか。ですから、私の帰宅中は、いつもより遅めに保育園に連れて行きます。地域柄、保育園の園児達は九割五分以上が黒人です。先生方は、全員が黒人です。ロサンジェルスに住んで居た頃は、黒人しか居ない地域 = 危ない、という悲しいかな方程式があり、用が無い限り避けておりましたが、こちらアトランタは、とても黒人の多い南部の街ですので、危ない地域もあるでしょうが、私達の住む町はそれを感じさせず、ホンワカとしております。私の主人が黒人ですので、うちの娘は半分黒人です。娘の髪は、二歳になるまではクリクリだったのですが、三歳になった今はチリチリのアフロヘアです。髪を梳かすだけでも一苦労です。クリスマスプレゼントに与えた人形の髪の毛を梳くようになってから、娘の髪も梳かせてくれますが、それまでは泣きながら逃げ回っておりました。主人は根気良く、小さな編み込みを沢山してくれますが、私にそのような器用さ、そして忍耐力はありません。保育園にいる子供達は、とても綺麗に列の整った、ピシッとしたマイクロ編み込みや三つ編みのヘアースタイルで、バッチリ決まっています。黒人の家庭では、お母さんやお姉さん、また近所や親戚のお姉さんに髪を編んでもらうのが風習の様で、女の子なら、誰でも上手に髪を編めます。プロ級の腕前も珍しくありません。主人は、そんな彼女達の前で、自分のする中途半端な編み込みが恥ずかしくなったのか、娘をアフロヘアで登園させるようになりました。すると、ある先生が娘の髪を編んでくれるようになりました。初めは、先生も私に敬意を払って下さったのか、少し控えめな髪型。私自身がその技の習得を諦めておりまして、その様なテリトリー等あまり気になっておりません。私のそう言った気持ち、それ以上に実は大歓迎だ、という事に気付いてくれたのか、少しづつ編み込みの数が増えて来ました。またその腕の良い事。そしてそれが良く似合っている事。

女の子でいる事の楽しさを、髪型、お化粧、ドレス、ハイヒールで味わっている3歳の娘です。この調子で、黒人であり日本人であることに誇りを持って、胸を張って強く生きて行って欲しいです。(体はパパに似て、頭はママに似てね!なんてね…パパには内緒。) ロサンジェルスに住んで居た時は、黒人さんが家に来る度に泣いていたのに、今では大好きな人達はみんな黒人さんです。私にとっては、通勤上、あまり都合のよろしく無いアトランタですが、娘の成長には完璧だと思います。