四国・徳島の和菓子店「茜庵」の日々のつれづれ。『庵日記(いおりにっき)』 -7ページ目

「届け、空へ」

次女の誕生まで、あと数日という中
祖父が逝ってしまってから 
もうすぐ、1年。

嫁いでからの5年間、
...
お正月のたびに祖父母の家へ届けた
伝統菓・花びら餅を

「茜庵のお菓子は、おいしいね」

お酒よりも甘いものが好きだった祖父は
そういって、顔をほころばせていたと
聞きました。

四国・徳島の和菓子店「茜庵」の日々のつれづれ。『庵日記(いおりにっき)』-hanabiraseisaku

幼い頃、どちらかといえば
厳しい顔ばかりの祖父を
ちょっぴり 苦手だと思ったこと。
あれこれ、口うるさく言われることに
反発した、10代のころ・・・

内孫が男ばかりだったせいか
最初に生まれた女の子の私を
とても、心配してくれていたんだと
気づいたのは、 ずっと 後になってから。

私の結婚を、とても喜んで
ひ孫の誕生には、顔をくしゃくしゃにして
笑い、恐る恐る、娘を抱き上げてくれたこと。

賑やかで、やかましく、騒々しくさえあった
幼いころからのお正月の風景 ―
“今年も、みんな、元気かな” 
思わず笑顔になりながら、
そんな情景は、いつまでも、何年も
永遠に続くような気さえして。

今年のお正月
― もう、その場所に、祖父はいないんだと、
失くして初めて、ぽっかりと
胸に穴の開いたような郷愁にかられました。

育っていく命の、輝かしい希望。
笑顔と喜びにつつまれたそんな日々は、
ときに、当たり前のようにいてくれた人の不在を
より強く、感じさせるのかもしれません。

ぽっかりと開いたような穴も、
少しずつ、少しずつ
埋まっていってしまう ― 日々に紛れて
忘れて行ってしまうことさえ事実。

お正月のたび、花びら餅の味に、
口に出さなくても祖父は、私の現在を
想ってくれていた。
これから迎える幾たびの新しい年に、
そのことへの感謝を
何度でも、思いだせるように -

透きとおったかなたの天に届くように
心にしっかりと、刻みたいと思います。