太極拳の効果についての記事を作成しようと思っていますが、その前に、不安、不眠、セルフケアについて記事にしてみました。
長いです。ごめんなさい。備忘録でもあります。
PD患者の不眠に、心理的要因によるものがあります。実は、わたしはこれは意外とけっこう大きいのではないかと見込んでいます。
不安障害、パニック障害、鬱…精神疾患を合併してらっしゃる方は少なくないです。不眠症状はPDによる脳の揺らぎとして諦めるのではなく、精神面からもアプローチすると良いかなと思いました。
不眠症は、原発性のほか、ストレスや不安、精神疾患、身体疾患に併存するものと捉えられていますが、元の疾患が治ったり、ストレス反応や不安が解消しても、不眠症状のみ残遺することがあります。
ここでの対処を誤ると慢性化し、数十年に亘って苦しまなければならないのです。また慢性不眠は、不眠症とは異なり、睡眠導入剤が効かず、日中の認知機能の低下や活動抑制、さらに鬱病へ繋がります。
①慢性不眠症とは
以下、新橋スリープ・メンタルクリニックのホームページより。
慢性不眠症とは
「不眠以外に精神的もしくは内科、外科的、環境的な問題がない、「心理的・生理的な不眠症」と考えられます。」
有病率は人口の1-2%です。
一次性の不眠をこじらせないことが大事です。
「不眠により不安や恐怖を繰り返し経験していると(略)過覚醒という状態が生じると考えられます*。体は疲れているのに眠りに入れない状態や、寝不足なのに昼寝できないといった状態は、過覚醒に陥った結果である可能性があります。最近では慢性不眠症において、過覚醒が病態の中心であると考えられています。」
*「過覚醒は、睡眠が不足することによる神経細胞の過剰な発火や興奮に起因するという仮説があり、そのことが恒常的に脳機能にストレスを与え」ています。
「臨床症状は、入眠困難(寝付けない)、中途覚醒(途中で目が覚める)、熟眠困難(眠りが浅い)の不眠症状と、入眠前後の寝室内での身体の緊張、不眠恐怖が特徴です。不眠恐怖は(略)眠れないことに対する過度のとらわれ、不安、焦燥(焦り)が強化されたものであり(略)日中から夜間の睡眠について過度に心配しているといった訴えを聞くことがあります。」
(下線は引用者です)
わたしは、日中眠くて眠くて仕方ないのですが昼寝がほとんどできません。また、決まった時間に眠剤を服用して効くのを待って寝室入りますが、ソファでは船を漕いでいたのに、寝室に入ると目が覚めるのです。典型的です。
ちょうど一年前、ムズムズ脚で眠れなくなった晩が数日続き、そこからどんどん不眠が悪化していきました。
その当時、クエチアピンとリスペリドンを服用していました。その薬は、通常、わたしには強すぎて、眠気と倦怠感で起き上がれません。躁の不眠時における最終手段の薬でした。
ところが当時は不思議なことに、眠気とは反対に覚醒していき、最終的に一睡もできなくなりました。日中も異様な覚醒状態が続きました。ムズムズへの強い恐怖から、睡眠自体に恐怖を持つようになっていました。
そして入院したとき(はじめ数日は薬はそのままで様子を見ます)慣れないベッドに緊張しながらも、5時間ほど眠れたのです。これはどういうことか。
不眠恐怖は睡眠環境により惹起されるので、寝室以外の環境では眠れることがあります。
例えばソファや職場のデスク、電車の中。
ただ超過覚醒に至るとそれも不可能になります
わたしの場合、その後も、PD告知、退院後のストレス反応による原因不明の身体症状が続き、さらに不眠をこじらせ、眠剤は効かなくなり、年明けからは1時間睡眠または徹夜が続いています。さいあく
②治療
睡眠薬は容易に依存性が形成され、休薬するのが難しいです。
ただ、一過性の不眠が慢性不眠への移行を防いだり、睡眠不安の悪循環を断ち切るために、一時的に睡眠薬を使うことが有効です。眠れたという成功体験を積むことで不安を解消します。
痛みも我慢すると脳が記憶して慢性化します。そうなると難治性となります。
(慢性腰痛とか慢性頭痛、ケイワンなど)
いろいろな症例を見ていると、睡眠導入剤と共に、眠気を生じさせる抗うつ剤(トラゾドン等)を使用することが慢性不眠症には効果があるようです。
過覚醒状態は、鬱状態と似たような脳の状態になるからです
また、薬物療法だけでなく、早期から認知行動療法などを導入することが有効とされていますが、保険診療ではないことと、治療可能機関が少ないため、難しいのが現状です。
③自分でできること
◯睡眠スケジュール法
・眠くなってから就床すること、起床時刻を守ること。
・寝付いた時間ではなく、起きる時刻を一定にすること。(起床後日光を浴びて14-16時間後に眠気が出現する)
*ここで注意すべきなのは、眠気です。不眠症患者が眠いと感じるのは、「疲労感、倦怠感であって、生理的な睡眠のドライブとは異なることが多」いのです。
(以下のp83より)
眠くなるメカニズムは
「疲労に伴い体内で産生されるアデノシンという物質がアデノシン受容体に結合すると、覚醒作用のあるヒスタミンという神経伝達物質の放出を抑えるため」
◯睡眠衛生
・テレビ、スマホ、パソコンは就寝1時間前に中止
・アルコール、カフェイン、ニコチンは摂取しない
カフェインの血中濃度半減期は2〜8時間
・寝付けないときは寝床から出る
・昼寝は15時までに20分以内
・部屋を暗くする(月明かりより暗く、ものの形がぼんやりと認識できる程度の明るさが適度)
・30db以内の静かさ
・寝具内の温度と湿度管理(寒いと目が覚めます)
◯リラクゼーション法
・自律訓練法
・漸進的筋弛緩法
詳しくはこちらで。
④PDとPTSD
前にも投稿しましたが、PTSDとはトラウマ事象が消失しても常に(無意識に)ストレスに晒されている状態のことを指します。
※前回の記事でお問い合わせがいくつかあったので記載します。トラウマは、心理学的なトラウマと医学的なトラウマとあり、全く別物です。また、トラウマ出来事を体験しても複雑性PTSDを罹患する確率は1.5-4%です。安易にPTSDと診断することで、二次的な疾患や症状を生み出し非常に危険です。専門医の診察を受けて診断が下りていない場合、自己判断でPTSDとすることはたいへん危険なので注意してください。辛い経験があっても精神科でPTSDと診断されないときは、「PTSDにはならなかった、トラウマ体験を生き残った」と前向きに捉えてください。複雑性PTSDの症状は激烈です。使用される治療薬もきついものが多いです。抗不安薬では治療できません。
PDは進行性の疾患ですし、症状による苦痛もあり、常にストレスに晒されているわけです。それゆえ不眠も起こりやすいですし、それをこじらせると難治性の慢性不眠症となります。
不眠の重症化は、PDにとって命取りになります。日中の活動が抑制され、鬱状態になります。
そこで、災害時PTSDケアに用いる呼吸法訓練をオススメしたいです。すごく簡単です。
この動画を見ると分かりますが、ヨガや太極拳に似ています。
また、不眠時の呼吸法で有名なのは「4-7-8呼吸法」です。
ハーバード呼吸法とも言われ、ご存知の方も多いと思います。
わたしはこれを行うと苦しくなります。ヨガの呼吸法をされている方に聞くと、少し訓練が必要なようです。
大事なのは、吸うときと吐くときに頑張ってやらない。からだの力を抜くことを意識します。吸うという行為は交感神経を刺激しますから、そっと吸います。
またカウントは気にしすぎないこと。カウントすることで雑念を払い集中する(瞑想状態になる)だけのためだそうです。
途中でイライラしたり面倒くさくてやめたくなりますが、日々少しずつ行って、リラックスする癖を脳につけたらいいのかなと思います。わたしもやってます
ついでですが、寝る前にストレッチする方がいますが、ぎゅうぎゅう伸ばすことは交感神経を刺激しますから、ストレッチは日中に行うのが良いそうです。筋肉は弛緩させましょう。
不眠が酷い場合、日中の激しい運動は避けます。興奮して、覚醒状態を悪化させます。
また、前向きな言葉の独り言も自分でできる認知行動療法だそうです。
わたしは独り言が多いですが、やっぱり気分が楽です。痛いときに「あいたたたー」と声に出すのは人間の本能なのかなとさえ思います。家族からはうるさいとクレームきますが
長くなりました。
お読みくださった方、ありがとうございます。