薬剤性パーキンソニズムのことを備忘録として記録しておこうと思います。
昨年(2023)5月のある日、寝入り端にとつぜん下半身がむずむずと違和感を感じ、眠れなくなりました。
もともと不眠症で睡眠薬を服用していましたが、睡眠薬が全く効かないので、かかりつけ医がセロクエルという抗精神病薬を出してくれました。
でも効き目が弱く、リスパダール(リスペリドン)を追加されました。
ふだんはこの薬をのむと丸々2日は寝込むほどなのに全く効かず
セロクエルもリスパダールも増えていきましたが、3時間眠れればサイコー、たいていは1時間、完徹の日もありました。
そして下半身のむずむずは一向に良くならないどころか悪化。
8月半ばになると、じっとしていられず、家の中をぐるぐる歩き回るのがやめられなくなりました。
(これはたぶんアカシジア)
むずむず脚症候群と思って、脳神経内科にもかかりPDの薬ものみましたが、副作用もない代わりに効果もありません。
その頃、洗髪のときに腕がうまく動かないことに気が付きました。
はじめはドライヤーができなくなり(ドライヤーがふれない)、シャンプーのときの腕の動きが日に日に制限され、歯磨きもできなくなり…
毎日、一段階ずつできなくなるので、怖かったです。とにかくスピードが速かった。
食事のときもお茶碗を持ち上げること、お箸の使い方が難しくなり、げっそり痩せました。
どうやってシャンプーするんだっけ?どうやって食べるんだっけ?
と脳が混乱状態でした。
お米を研ぐとき、かきまわせないので、左右に手を振って研いでました。不思議でした。(後にPDの典型的な運動症状と知りました)
ゴミ袋の紐を結ぶ、タオルをバサバサする、洗濯物を畳む、布団カバーをかける…いろんなことが出来なくなっていきました。
わたしが家の中を歩き回る様子を見た夫に、すり足歩行、腕を振ってないこと、前屈みになっていること、首が下がっていることを指摘されました。
「どうせ歩くなら腕を振って大股で歩いたら運動になるんじゃない?」と言われ、ランニングマシーンを買ってあげるとしつこく言われました、苦笑。
立っているとからだがどんどん前に倒れる、なぜか膝を曲げて立っている、方向転換できない、しゃがもうとするとコロンと後ろに転倒する、いったん転倒すると自力で起き上がれない、寝た状態から自力で起き上がれない…
起き上がれないのはすごく困り、夜中にトイレに行くとき、朝起きるとき、両足がまるで鉄の塊みたいに動かないのです。
転倒したままというのは本当に怖かったです。
足がよくつって痛かったです。運動不足かと思い、ウォーキングに出かけましたが、頑張っても頑張っても前に進まなくて、じゃあ筋トレをしようとスクワットをしたらしゃがめなくて。じゃあ柔軟体操をと思って、ネコのポーズしようとしたらできなくて。
ベッドで寝ると起き上がれないので、リビングの床にヨガマットを敷いて寝ていました。
起き上がるとき、床に肘をついて体を起こし、近くの家具につかまって立ち上がっていたので、腕がアザだらけになりました。
喋りにくさも日に日に酷くなり、電話ができなくなり、病院の予約などは娘にしてもらっていました。
問診票に記入する文字がどうしても小さくなり、お米に書いた字みたいで、恥ずかしかったです。
便秘も酷かったです。妊婦さんみたいにお腹が膨らんでいるのに、腸や肛門がまるで存在しないかのように動かないのです。
下剤も効かず、消化器内科で浣腸してもらいました。
排尿障害もあり、手でお腹を押さないと排尿できません。そもそも尿意がないのです。
なんでこんなことが起きてるのか、知識がないので本当に怖かったです。
それよりかかりつけ医が薬剤性パーキンソニズムと気が付かなかったのが恐ろしい。
けっきょく神経内科の医師(今の主治医)が「パーキンソン病では?」と言い、そのことを精神科の医師に伝えたら
「無理!入院して!」
と言われ、国立医療センターに入院となりました。
国立医療センターでは入院前の予診で、医師がわたしの顔を見てすぐに薬剤性パーキンソンニズムを疑いました。無表情と首下がりが典型的だと。
そしてやっと入院後にリスパダール断薬治療となりました。
入院時、わたしは話すこともできなくなっていて、病室でもしょっちゅう転倒、入浴は介助入浴でしたが、断薬して3日ほどで良くなりました。
念のためセロクエルも断薬して、一カ月入院していました。
退院するときすっかり良くなりましたが、右腕の歯車のような動きが残っていました。それも3ヶ月後になくなりました。
※入院時、セロクエル50mg、リスパダール3mg服用していました
今でも残っているのは、動作時振戦です。
ほんものの?パーキンソンなので仕方ないです。
安静時振戦がなかったのがむしろ不思議です。
とにかく進行が早く、運動症状が始まって一か月でからだが固まってしまいました。
ただ、もともと脳の神経変性でドパミンが減っていたので、進行が速かったのだと思います。
いちばんはじめのむずむず脚症候群も、パーキンソンの症状だったのかもしれません。
薬剤性パーキンソニズムは精神科のお薬だけでなく胃腸薬などでも発症するそうで、それ以来、市販薬をむやみに服薬しない、処方薬は必ず医師に確認するようにしています。