「……………………っ……」
俺が智のために選んだ………テラスハウスは……不思議な場所だ……………
テラス側の窓全体には………水平線の先まで見渡せそうなほど…………奇麗なコバルトブルーの海の景色が見渡せる…………
浜辺までの距離はあるものの………2人には……ちょうどいい散歩の距離になる………
キッチンと………寝室側には……きれいな木々の緑が広がり………まるで森の中にいる感覚になる………………
『こんな…対照的な自然に囲まれた物件はなかなか無いんですょ………』
『まぁ………お値段も……それなりなのでね……なかなか買い手が無くて……』
不動産屋は……そう言って微笑んだ………
その向こう側窓辺には……今日みたいに……小枝で………鳥の囀りが聞こえていた…………
この美しい鳥の囀りを………智にも聞かせたかったんだ…………
小枝に止まり………囀るのに飽きた鳥は………ぴょんっと………羽根を羽ばたかせ飛んで行く……
俺は………思わず………その鳥を目で追うように………窓の外に視線だけを向ける………
青い鳥は………自由に………自由に…………樹の枝を潜り抜け…………青空へと………大海原へと………飛び立っていくのだろう…………
その鳥の姿を………智に重ね合わせると………ほんの少し…………悲しくなる………………
「…………何が………いけないんでしょうねぇ…………」
「…………………っ……」
「あなたは…………ごく普通の事をしているだけなのにっ……………」
「誰もが持つ………当たり前の感情なはずなのに…………」
「お偉いさん達に呼ばれて……あんなに絞られて………挙句は………囲みの会見までさせられて……………」
「…………全部…………自分が蒔いた種だから……………自分で刈り取るまでだよ…………」
「鳥が…………食ってくれる……訳じゃあ無いしな…………っ……」
智が苦笑しながら………さきほど飛び立った……鳥を……俺の背中越しから………ともに見上げる………
智の表情は…………何時にも増して…………穏やかだ………………
「でもっ……………」
「すべてを…………認めてしまうには……あまりにも酷い話で……………腸(はらわた)が煮え繰りそうです…………」
「カズ………………っ………」
「もう…………いいんだっ………誰がなんと言おうと……………」
「それに………俺たちは………事務所の方針でしか…………動けない人間だからなぁ……んふふっ………」
「……………っ……」
「お互い様ですょ…………」
俺が………智に向かって……にっこりと笑うと…………
智が…………擦り寄って来て………俺の後頭部をゆっくりと引き寄せ………自分の額と俺のを……ぴたりと重ねる………
「………………っ………」
智の…………綺麗な顔が……俺の視線の至近距離に突然入って来たので………思わず……胸が跳ねる……………
ほんの少し………悲しげに見える瞳は微かに憂いを含み…………妖艶さを増す瞳で俺の視線を捉えてくる…………
「…………カズっ…………何時も…………何時も………苦しめて………ごめんなっ……」
「……………っ………」
「………だからっ…………お互い様って……言ってんじゃんっ………」
俺は………必死で…………くっ付いてくる智を…………引き剥がしにかかる…………
「…………くっ………う………」
離してょ………っ………でなきゃ………
涙が…………涙が……………溢れて止まらなくなる……………
「なんでだょ………っ………カズっ………」
わかんねぇのかょっ………本当にっ………何時まで経っても………懲りねぇ奴なんだっ……
それでも…………あんたが………好き過ぎてっ………たまんないんだっ………
「俺だって………俺だって………」
「うんっ………?…………俺だってなんだょ………カズっ………………」
「何でもっ……………ねぇよ………っ……」
「離して…………ょっ………」
必死に智を………引き剥がそうともがき始めると…………智の俺を掴む力が………増してくる……………
「何時でも………どんな時でも………っ……」
「お前…………以外っ…………本気でなんかっ…………人を…………愛する事なんて………出来ないんだっ…………」
「………………っ………」
あぁ……………また………その言葉……………
何回…………そんな言葉を………聞いて………寄りを戻して……来たんだろう…………
「………んふふっ…………何回っ……同じ事……言ってんだょ………おじさんっ……」
たぶん………あんたの事だから………いいじぃさんになっても…………言ってんのかなぁ……
あんたに………心底惚れ抜いている………俺が負けなんだろうなぁ…………
必死に…………涙を堪えながら………智の首根っこを………握りしめる…………
智の顔が…………急に赤く染まり………顔を引き攣らせる…………
「だからっ………お互い様なんだって………」
「………俺だって………あんな事があっても………あんたを………諦める事なんてっ……出来ないんだっ…………」
だから………だからさぁ…………
これからも………ずっと…………何があっても…………ずっと…………
悲しい出来事を………全て…………胸の奥底に閉じ込めて………………
笑って…………いようよ……………
全て………人が…………俺たちを求める限り………
Doll's ………俺たちは人形…………
あんたと………2人ならば………耐えられる……
どんな苦痛も…………屈辱も…………
全ての感情を押し殺し………綺麗に微笑み………人を魅了し…………愛玩されるために存在する……………
「「………んふふっ………」」
お互い…………あまりの至近距離で見つめ合っていたので…………
可笑しくなって………吹き出すように笑う………
それでも………やはり……俺も生身の人間なのだろうか…………………
俺を見つめて………哀しそうに笑う智を見つめて……………片方の眼から………ひと筋の涙が………零れ落ちた…………
*・゜゚・*:.。..。.:*・'*:.。. .。.:*・゜゚・*
かなり。忘れられているお話しですよねっ| 壁 |д・)
覚えてますかぁーーっ???
激務とプライベートの忙しさで、身体を壊してしまいまして。
再び。酷い貧血に苦しんでいます。
今週。唯一の休みを、ほとんど寝て過ごしました。
しかし。雨の日は。頭の中の妄想も動き出し。やっとDoll'sを書く事が出来ました。←ひとまずホッ(^。^)
病んでる時に書いたので、病み気味の大宮さん(笑)
結構。責められると思っていたのですが。
共感を得られて良かったです。
また、いつ更新できるか分かりませんが。
頑張りますっ←何をっ?(笑)
では。明日から週末まで出勤なので。
寝ますっ(^з^)-☆
読んでくれてありがとうっ。
やっぱっ。大宮はたまらんっ(^з^)-☆