- 冷血 (新潮文庫)/トルーマン カポーティ
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ノンフィクション・ノヴェルの金字塔。
映画『カポーティ
』を観て、やっぱり読もう!と気になり、読んでみました。
カンザス州の片田舎で起きた一家四人惨殺事件。
被害者は皆ロープで縛られ、至近距離から散弾銃で射殺されていた。
このあまりにも惨い犯行に、著者は5年余りの歳月を費やして綿密な取材を遂行。
そして犯人二人が絞首刑に処せられるまで見届けた――
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好き、というわけではない。
内容が内容だし「感動した」なんて言えるものではない。
そこまで衝撃を受けた、というわけではないのは
時代が関係しているのかもしれません・・・・。
正直、想像していたものとはけっこう違って。
600ページくらいの文庫でしたが、3分の2ほどになってようやく犯人が捕まって・・・。
それからの展開は早いです、が、あれ、まだ??
と思ってしまったのが本当のところ。
淡々と、ひたすら淡々と進んでいきます。
映画ではけっこう犯人側にたっているような気がしましたが、やはりプロだからか。
そういう風には感じられません。
文学的どーこーよりも、こんな悪質な犯罪、犯人側で書いたら売れないよね。
カポーティ自身神の視点・・・とまではいかないけれど、第3者として、一歩ひいて見ているという印象です。
「この事件をどう考えるかは、読者自身に託す」とでも言いたげ。
カポーティ自身がこの実際に起こった、何の罪もない一家四人殺害という事件をどう思っていたのかが気になるけれど・・・。
犯人を責める感じもあまりしない。
でも、犯人側心理よりも被害者、いや、被害者の友人だとか、家族や、その地域の人々、そして警察側の心理を描いていることのほうが多い。
汚れた顔をしているのは恥ではない――汚れたままにしておくことが恥なのです。
ペリー(犯人の一人)の姉からの手紙。
例の如く、ちょっとズレたところにインパクトのある言葉が見つかりました。
一家全員、殺害されてしまったクラッター家。
その地域でも評判が悪い家だったらまだ良かったのに、すこぶる評判の良い家。
あの家族が殺された、だなんて、自分たちだって殺されるのではないか。
とにかく鍵をかけられたらいい、と錠前等が爆発的に売れ、一種のパニックが生まれます。
実際、鍵なんてかけても、やる気ならすぐに外せるだろうけど・・・
この辺の描写はうまいなーと感じました。
「淡々と」描いているからこそ。
殺された娘さんはとてもキレイで、性格も良かったみたい。
とてももてたけど、特定のボーイフレンドもいて、この彼としかデートをしなかったらしい。
ただしこの彼とは宗教上の関係で結ばれないと分かっていた。
これはどうしようもないことだし、父親も「徐々に距離をおくように」と。
まあ、このあたりはフィクションかもなー?
と思いますが・・・(直接カポーティはその彼にも会ったのかもしれないけど)
尚更・・・かわいそう。
残された彼とお友達はいったいどうなったんだろう。
二人組みの犯人はこの家には金庫がある!と勘違い?をしてクラッター家を襲います。
そして、結局いくらとったのか?という質問に、こう答えます。
「40ドルから50ドル」
なんかもう、いろいろ考えさせられますよね・・・・。