16秒ほどのズレが人の死命を決する―インターネット上のラジオ放送(ラジコ)と通常のラジオ放送との間に生じるズレは日常的に経験されていて、あまり違和感はないかもしれない。しかし、これが緊急地震速報だったら、大変なことになりかねない。16秒は意外に長い―助かる生命も助からなくなる恐れさえもある。


 この問題を先日の衆議院予算委員会分科会で取り上げた際に、片山総務相はあまり問題視していないように感じられた。通信と放送とのズレは、あたかも外国語を通訳する際に時間がかかるのと同様にアナログとデジタルの差は致し方ないというのだろうか。


 携帯ラジオを持ってランニングやウォーキングをしている者にとって、ラジコの普及で小型の携帯ラジオが絶滅しそうな状況にあるのは穏やかではない。NHKがネット放送に参入していない現状のままラジコが全盛になると、どうしようかとの危惧を抱いていた。若者がNHKを聞こうとしない状況がいけない。もっとNHKは若者向けラジオ放送番組作りに熱心に取り組め、と思っていた。NHK抜きのラジコでは不便だとの声が若者からもっとあがってこないといけないという風に。


 このため、NHKが先日、総務省にネット放送への参入の認可申請をだしたとの報道には喜んだ。この申請に対して、私は質問で総務省の対応をきいたのだが、その際に放送法の改正なしでも対応できると答弁があったのには安心した。携帯電話でNHKを含むラジコが聴けるようになれば、携帯ラジオがかりに絶滅しても大丈夫だ。しかし、緊急地震速報の問題は残るだけに、技術的な努力でたとえ1秒でも2秒でもズレが短縮されるように注意を喚起しておきたい。