数多ある予算関連法案のうち、歳入に関わる特例公債法案と税制改正法案の二つについて、不成立の場合の影響を考える。


 まず、特例公債法案。本来は認められない赤字国債の発行だが、認めないと立ち行かないので、毎年特例的に法案が出され、対応を重ねている。今年は40.7兆円の財源を賄おうというもの(この額は、歳入全体の4割強にも)。これが成立しないと、お先真っ暗だが、当面は毎月の税収と20兆円の発行枠がある政府短期証券でやりくりするものと見られている。6月の会期末までに成立しないと、国債が売られ、日本の信用失墜に拍車がかかり、市場の大混乱は必至とみられる。


 一方、税制改正法案についても、生活に直結する影響は免れない。法人実効税率5%引下げやら、国と地方あわせて5800億円規模の個人向け課税が見送りとなり、これらを財源とする子ども手当の増額は宙に浮く。中小企業向けの法人税率は、18%に軽減されているものをさらに15%まで下げるところが、不成立ということだと、本則の22%に増税されることになってしまう。


 他にも値上がりや増税となるものが多いので、民主党は、優遇措置が三月末で切れるものについて、期限を一時的に延長するために、いわゆる「つなぎ法案」を提出する構えだ。大事なことは早急に民主党政府として、この状況を招いたマニフェスト違反などの根本的責任について、国民や野党に謝ったうえで予算修正に応じると共に関連法案についても見直しをする必要があろう。


 ことここに至っても民主党政府からは危機感が奇妙なまで伝わってこない。なんとかなるて思っているのかどうか。全く理解に苦しむ。