もう弁護士業界はだめかもしれない―週末に兵庫県弁護士会館で開かれたシンポジウムは、弁護士増員時代の弊害を検証する集いだった。参加していたあるベテラン弁護士が私と二人だけの意見交換のなかで冒頭のような珍しい弱音を吐いた。


 10年程前に、外国に比べて少なすぎる、地方での弁護士不足は顕著だなどの理由で、司法改革の一環として、取り入れられた。あれから今や弁護士の数はうなぎ登り。他方、需要は減る一方。このため、食えない弁護士が増えているという。


 過疎、過密両地域からの弁護士の代表、中小企業経営者、新聞記者、民間の法律相談窓口関係者らとの一時間余りのやりとりを聴いた後、一部始終にたった一人参加した衆議院議員として以下のような発言をした。

 「弁護士が増え過ぎることへの確たる見通しを持っていなかった不明を恥じる。政治の側の一員として責任を感じざるを得ない。弁護士をめぐっては、代議士もそうだが、従来とはかなり信頼感が薄くなってきている。そこをしっかり受け止めて、自己改革に取り組んでいく必要がある。日弁連は余計なことをしすぎだ。様々な政治課題に意見表明をされているが、本業を疎かにしてまでやることなのか。どうしてもやりたいなら、若い人やベテランも含めてシンクタンクを作ってはどうか。弁護士業界が直面している課題と真剣に向き合っているようには思えない」


 こうした趣旨の意見に、先の弁護士が、弁護士の数が増えすぎた事態を招いたのは、政治家の責任より日弁連とりわけ中坊公一氏ら当時の指導者の責任が大きいとの意見をだされた。終了後、この人と色々意見交換をしたが、結論はお互いに内部改革に取り組むことの必要性だった。