チュニジアからエジプトそしてリビアへと中東諸国での反政府デモが深刻な広がりを見せ、相次いで政権が崩壊している。共通しているのは、中央政権が独裁・強圧的だったこと。幅広い民衆が自己主張を始めたと言うことだろう。背後には、ネットによる若者たちの声の結集が存在したと見られる。その辺りについて、先週日曜日のNHKスペシャルの報道は興味深かった。


 中東地域はかつての英国やフランスなど欧州先進諸国に支配されていた段階から、時を経てアメリカの浸透という側面が色濃い。イスラエルとの関係を含め、今後の米国との距離感が注目されている。


 こうした事態を横目に、東アジアの未来を考えざるを得ない。中国も北朝鮮も国内に深刻な問題が存在する。中国は、国民総生産で日本を抜いて世界二位になったとはいえ、内陸部と都市部との格差拡大や、少数民族問題、そして共産党独裁への根強い反発など、国内事情は危うい。北朝鮮は、うち続く食糧難に大衆は苦しんでいるはず。今のところ反政府の動きはないものの、やがて、民衆レベルでの自由を求める動きが表面化してくることは必至と見られている。


 いま、中東地域で難民がイタリアなど周辺各国に向かっている状況は決して他人事ではない。


 日本は、中国に対して羨望と恐れがない交ぜになった感情を持っているとされる。しかし、人間にたとえれば伸び盛りの青年期にある中国を、成熟した大人である日本が冷静に温かい眼差しで対応すべきとの指摘もあり、私も首肯したい。いたずら盛りの少年期にある北朝鮮についても、突き放して追い込むばかりが能じゃないといえよう。