菅首相との初めての党首討論についての反応を記したい。谷垣自民党総裁は「税と社会保障の一体改革」についての与野党協議に入る条件として解散を要求する発言をした。さらに「民主党の09年度衆議院選挙のマニフェストは、消費税をあげないことが前提だ。任期中に税制改正案をだしたら、マニフェスト違反だ。カド番に立ったから、一緒に八百長相撲をとってくれみたいな話には乗れない」と突き放した。


 これに対して、私のところに、一読者から、「自民党は大いなる思い違いをしている。先の衆議院選挙にいたるまでの自らの惨憺たる実態を忘れたのか。有権者が民主党に政権交代を認めたのは、必ずしもマニフェストに賛同したからではない。自民党中心の政治に飽き飽きして、なんとしてでも変えて欲しいと思ったからだ。民主党のマニフェストに問題があれば、それを修正すればいいのであって、何が何でも解散をしなければ、話し合いにすら応じないなどというのは思い上がりも甚だしい」という抗議がきた。勿論、公明党は違うだろうな、と。念押しがしてあった。


 山口代表は、この点について、社会保障の具体的な改革案が示されるまでは協議に応じないとし、自民党とは微妙に違う姿勢を示した。首相がマニフェストの柱の年金一元化は難しく、最低保障年金は数字が固まっていないとしていることを追及。マニフェストが実現できないなら、国民は契約を解除する権利があるとして、責任の取り方を明かすように迫った。


 一部メディアでは、こうした両者の姿勢の違いに殊更に着眼し、公明党は話し合いに応じる余地を残しているとの見方にこだわっている。政治には時間の政治学が働く。時間の推移を見ずして予めあれこれと判断を下すのはしばしば予測を見誤るとだけこの時点では注意を促しておきたい。