「民主党が『国民との契約』とうそぶいたマニフェストを修正するのであれば、国民・有権者に契約不履行を心からお詫びし、改めて信を問うべきです。それができないのであれば、総理の職を潔く辞すべきです」―公明党の基本的立場はこの井上幹事長の昨日の菅首相への質問に集約されている。一般に、公明党があたかも解散を恐れているかのように報じるメディアがあるが、そんなことは全くないことがこの発言からも明確だ。政治の世界の未来予測は予断を持って判じ難いのが常だが、今回ばかりは遅くとも会期末までに「解散か総辞職」は避けられないとの見通しは断言できる。


 自民党の谷垣氏は冒頭の質問で、合わせて13回も「解散・総選挙を」の言葉を繰り返した。聴いていて、気持ちは分かるがいささか乱発ではないかとの危惧を抱いた。これだけ迫って実現できなかった時の責任はどうするのか、と。菅首相は、社会保障のありかたについて、6月までに具体的な(民主党の)制度改革案と消費税を含む税制抜本改革案を提示したいとした。これ以外にも6月に期限を区切るとの発言が目立つ。この国会の会期末が6月中旬に来るからとの単純な発想だけであるとは思われない。明らかに6月を自らのターニングポイントと位置づけている節があるとの見方は正鵠を射ている。


 4月の統一地方選挙と同時あるいは相前後しての解散・総選挙も覚悟しておく必要がある。常在戦場とは日頃からよく使ったり、また聴く言葉でもあるが、すでに日本の政治はそうした危険水域にすでに到達しているとの認識は持っておかねばならない。