先日テレビで見たNHKスペシャル『貧者の兵器とロボット兵器』にはショックを受けた。アフガンでは米軍を中心にタリバンとの闘いが続いており、泥沼化しているということは頭でわかってはいたが、従来の紛争観を一変させる中味であった。


 生身の兵士に代わってロボットが登場。タリバン幹部から自爆の使命を植え付けられた若い兵士と向き合う。人とロボットの戦い。いのちの格差は広がるばかり。殺し合いの現場には足を運ばず、遠く離れた場所から、まるで、ゲームをする感覚で戦争が行われている。


 ロボット市場が10兆円だとの指摘がなされ、世界各国のバイヤーが集まっての場面には目を瞠った。「安いミサイルで殺せるからお得ですよ」との呟き。300万人の雇用があるという米国の軍需産業。この映像は最後に、「終わりのない戦いは、この先どこに向かうのだろうか」と結ばれていた。映像の中に子供たちや女性の姿を見るにつけても、アフガン人の中からこの戦いを終わらせる動きは起こってこないのだろうか、との思いを強く抱いた。


 一方、同じNHKのETV特集で、全く違う感慨を抱かせる『アフガニスタン 永久支援のために』をビデオで見た。ペシャワール会の中村哲医師の活躍でアフガンに出来上がった水路をめぐるドキュメンタリーである。かねてから中村医師のたった一人の闘いには敬服していたが、改めて深い畏敬の念を抱いた。同じアフガンの地での話題でありながら全く異なった印象を抱く。一般には紛争の地だから危険なところとの視点だけで見がちだが、同じ国の中で農業生産のために必死の努力をしている人々がおり、それを命がけで支えている一人の日本人がいることを誇りに思った。