「マンパワーイノベーション 地域と企業は人から―失われた20年から学ぶこと」と題した佐竹隆幸兵庫県立大教授の講演を聴いた。兵庫県議会議員の松田いっせい氏のパーティの第一部で披露されたが、大変に面白く参考になった。私は第二部の来賓として参加するために、衆議院本会議をそこそこに駆けつけたのだが、随分得をした思いに浸れた。以下、私のメモをもとに箇条書きにして、おすそ分けしたい。


 1、平成5年の大卒の初任給が20万円。16年後の昨年のそれが同じ20万円。名目GDPもほぼ同じ。この約20年間、経済活動は全く同じ状況が続いている。


 2、混迷の時代と言われるこれからにあって兵庫県の可能性を探りたい。エコ(電機自動車)、テレビ、エネルギー(原発)の3分野で注目される動きがある。年間70兆円市場といわれる自動車分野では、三洋電機が加西市にハイブリッド車向けの電池工場を建設している。テレビ分野では、2011年に地デジへの移行を控えていることもあり、世界で年間140兆円の市場に成長するとの見方も。プラズマテレビの工場が尼崎で稼動し、液晶テレビの工場が姫路に立地することなどチャンスだ。エネルギー分野で特筆される動きもある。


 3、地域が元気になるには、地域内再投資の仕組みを作ることが大事。人、モノ、カネの資源を地域内で循環させるということだ。地元の人を雇用して地元で購入してもらう、原材料を地元で仕入れてもの作りを行う、金融機関は地元で得た預金を地元に貸し出すということである。こうした金融はリレーションバンキングと呼ばれる。


 4、挨拶が出来る地域作りが大切。住んでる地域を誇りに思えるモチベーションを高めることが大切で、人に喜ばれ、人が集う地域になれば、良好な経済的循環は必ず生まれる。