昨日の「北方領土返還促進に関する要請・請願」の会が終わったあと、直ちに児玉さんのところにかけつけた。私の心境としては、高橋はるみ北海道知事に始まり、4人ほどの運動推進に関わる皆さんのお話は今一歩、心をうたず、いささか退屈なのは否めなかった。もっと、現場に即したリアルな実情を聞かせてもらわないと、という気分だった。そこへ痛烈な一撃が国会議員に放たれたわけだ。児玉さんは、総理府の担当副大臣が根室に先日来て、運動の後継者が必要という意味の話をしたことを取り上げ、何をのんびりしたことを言っているのか、もうそんなに待てない、後継者ではなく、今運動をしているものに、力を与える予算が欲しいのに、との怒りもぶちまけていた。


 この人の言われる通りだと思って、「今のお話は凄い。もっともっと聞かせて欲しい。公明党にも来て皆に喋ってください」と述べた。すると、「前にお呼び頂き、参りましたよ」と。こうした話はいま感動するまでもなく、幾度か聴いているのに、その都度感心している我が身のいい加減さを反省した。そうかもしれない、と瞬時たじろぐ。しかし、気を取り直して、「浅田次郎氏の『終わらざる夏』が出版されて、北方四島の問題が改めて話題を呼んでいる今こそチャンスですね」と申し上げた。それには同意をしておられたが、次の人との挨拶で話は途切れてしまった。


 「戦場で失ったものを交渉のテーブルで取り返すことは困難だ」とは歴史の教訓である。ロシアから北方四島を取り返すことは並大抵では出来ない。戦争することは最早許されぬ日本であってみれば、不可能に近い。であればこそ、人智の限りを尽くして、したたかな戦略が求められる。諦めと自堕落な対応では何も期待できず、物事は始まらない。