このやろう。目障りだ。どけ。中国漁船が海保の巡視船よなくににぶつけてきた場面は、あたかもそういっているかのごとくに見えた。そんな感じだった。1日の朝、衆参両院の予算委員会の理事を中心に、その日に質問に立つ予定の人間も交え、30人ほどが特別室に集まって鑑賞した。僅かに7分程度だったが、なかなか見ごたえがあった。


 既に新聞やテレビ各社が報じているので、見た議員の印象記などはご存知かもしれない。私は一瞬、あの中国漁船の自信に満ちた意志の強そうな船長の顔つきを思い起こした。一部で、中国漁船がぶつからざるをえないように海保の船が仕向けたのではないかとの説があったが、全くその疑念は吹き飛んだ。よく、長いビデオを短く編集したというが、衝突の場面をピックアップしたもので、編集という概念ではあたかも都合の悪いところを取り除いて、つなぎ合わせたかのような誤解を招く。これは衝突場面のみのビデオと呼び、編集云々とは言わない方がいいのではないだろうか。


 あの船長を早々と勾留から釈放してしまったのは、適切だったかと訊かれるが、ビデオを見た限りではすべきではなかったとの思いがつのる。こう言った瞬間、あの苦渋に満ちた那覇地検次席の自信のなさそうな不景気な顔を思い起こす。このビデオ、今後どうすべきか。


 ここは、中国が一連の高圧的傲慢で失敬極まりない対応を、日本及び日本人にしてきているのだから、今後もそうするなら、これを世界に公開するぞと、戦略的につかうべきだと思う。そういう風に派手にやった方がいい。なんだか「粛々と」とか「冷静に」とか言うばかりの民主党政府のいかにも物知りげで賢げな態度を見ていると、虫酸が走る。1日の産経正論に堺屋太一氏が書いていたように「中国人は自分に媚びる者を決して尊敬しない」のだから。