市の面積の90%までが森林。西播磨北部に位置する宍粟市はまさに森林王国。いかに森林が多くとも林業が衰退すると即森林亡国になってしまう。永年の間、林業再生に取り組んできた同市がついに立ち上がるときがきた。先日も報告したが、経済評論家の内橋克人氏がNHKラジオで取り上げていた「森のゼロエミッション(廃棄物ゼロ)構想」の展開を聴いて、早速現地に飛んだ。党農水部会のメンバーである石田祝稔、西博義、谷合正明の3人の国会議員と、北条泰嗣兵庫県議らとともに、効率的な視察をさせていただくことができた。


 市庁舎内でこれまで取り組んできた関係部局の担当者から概要を聴いたあと、車で40分ほど走った山の中にある東河内株山共有林に向かった。ここでは、共有林の管理者から低コストの収入を強いられている間伐の現状やら路線整備や列状間伐の課題を聴くと共に、収益の確保や継続的な森林経営についての陳情を受けた。そこでは以前にお会いした株式会社グリーン興産の石原武典社長と懐かしい再会をすることができた。私からこんな山奥に視察にくる人は他にあるか、と聴いたところ、地元の子供たちが近く皆でくるとのこと。「未来を担う子供たちに地元の産業に誇りを持って欲しいので、大変に嬉しい」と。


 今度はそこからさらに20分。来月7日にオープンする県産木材供給センターへ。森林所有者への利益還元を目的とし、素材生産から製品販売までの一貫した流通体制を整備した大型製材施設ということで、自信みなぎるタフそうな山田佳幸専務理事からその仕組みの特徴を念入りに聞いた。


 最後は、一宮温泉まほろばの湯に。ここでは木材のカスケード利用に向けた木質ペレットボイラーを導入した施設を見せてもらった。視察を通じて、この試みが必ずや日本の林業再生の先駆的役割を果たしてくれるに違いないとの確信を抱くことができた。