秋田空港から車で約10分。広大な敷地。杉木立のなかの図書館。秋田県立中央公園やスポーツセンターなどの諸施設に隣接した秋田国際教養大学は、噂どおりの輝ける新天地だった。『東アジアの活力』と銘打った国際シンポジウムが15日、16日の二日間にわたり同大学で開かれると聴いて、国会の合間に機中の人(羽田から僅か45分)となった。


 「儒教、漢字、米食、箸と共通の文化圏に属するものの、大陸性、半島性、島嶼性とそれぞれ異なる地政学的特徴を持つ中国、韓国、日本の違いを意識することが大切」であり、東アジアでは「新しい冷戦という認識が生まれつつある」との中嶋嶺雄学長の挨拶で始まった。ついで、「東アジアの経済協力と安全保障」とのタイトルで朝日新聞の船橋洋一主筆が基調報告。「上海万博でのアフリカへの強い関心など中国のバイタリティには動物的スピリットを感じる」と約30年前の大阪万博と興味深い対比をしながら、躍進する同国の経済発展の実態を語った。また尖閣諸島をめぐる問題では、「日中双方が未熟ゆえに、共に負けたのではないか。戦略的互恵関係はレトリックに過ぎない」「経済カードを中国が切ったことは気になる」などと注目すべき見解を述べた。


 またこれを受けての討論に参加した袴田茂樹青山学院大教授や濱本良一読売新聞論説委員は「世界に中国の本当の姿を知らしめた」ことは大きく、この結果「日本人が主権意識に目覚める」効用が生まれたとの認識を示した。


 昼食時の学内食堂でたまたま隣り合わせた1年生男子のM君とあれこれ話し合った。高校生の時には、古文や漢文が好きで英語は苦手だったと言う彼だが、今猛然と勉強する一方、大学祭で市民を巻き込んでの様々な仕掛けをするべく取り組んでいるとの話をしてくれた。都会の雑踏の中にある大学の学生とは一味違うさわやかな印象を受けた。