「売られたけんかは買う」―誰が何時どこで言ったか定かではないが、新聞報道によると、民主党の小沢系の議員が発言したとして伝えられている。菅内閣や新しい民主党の執行部のスタートを見るにつけて、他人事ながら、小沢氏の気分いかばかりかと案じざるを得ない。この党の衆参両院の議席423議席、とりわけ衆議院307議席を得るに至った最大の功績者であるはずの小沢一郎氏。この人のお陰で今日の立場を得ておきながら、菅民主党は、徹底的に小沢色を外して、果たして党運営がうまくいくのだろうか。枝野氏は小沢氏に会おうにも会ってもらえないのだと言ったとも伝えられているが、これからの両者の駆け引きはなかなかの見ものだ。


 今の民主党をどう見るかはいろいろあろうが、単純に言って、小沢氏の存在を抜きにして語れないはず。あたかも小沢氏的なるものを人事構想などから外すことによって新しい民主党に生まれ変わったかのように言うのは、小沢氏にも失礼きわまりないし、国民の目を欺くものとしか言いようがない。思えば、小沢氏は、自身の主義信条が多少異なろうが、敵の敵は味方とばかりに旧左翼勢力とも手を結んできた。選挙に勝って多数派を形成しなければ、意味がないとその勢力を拡大してきた。その結果として昨年の総選挙で120人にも及ぶ勢力を手に入れた。その挙句に新しい菅民主党に余計者扱いされるというのでは腹の虫も収まらないだろう。


 もはや、ご自身が民主党代表選挙に出て、総理大臣をめざすか、叶わなければ、新たな画策に奥の手を・・・。かつての古巣・自民党を外から壊すことにほぼ成功した小沢氏。今度は民主党を壊すことに意を注ぐことになるのではないかと思われる。